2013年6月29日土曜日

"花は咲く"



アレンジのポートフォリオ作りの一環として、復興支援ソング「花は咲く」を二重唱にアレンジし、素晴らしいソプラノとテナーの友人に手伝ってもらって録音しました。

願いを込めて書かれ、沢山の人が様々な想いを託して歌っている曲だと思うので、編曲したビデオを発表するのに少しためらいもありますが、私なりにできるだけ曲の性質にそってシンプルに取り組んだので、この曲の二重唱バージョンのひとつとして聴いて頂ければと思います。

2013年6月26日水曜日

"弦楽四重奏第一番"



「弦楽四重奏第一番」の楽譜がこの度出版されました。Abundant Silence Publishing - String Quartet No.1 by Ayumi Okada

ビデオはこの間のリサイタルでの演奏の音源をもとに、出版社がプロモーション用に作ってくれたものです。


アメリカに来て一曲目に書いた曲で思い入れもあり、このような日を迎えられるとはと、先日届いた楽譜を手にしてとても感慨深く思いました。パート譜も丁寧に印刷されているので、今後色んな人に演奏してもらえればと願うばかりです。

2013年6月24日月曜日

"逢ひ見ての"



だいぶご無沙汰してしまいました。。。書きたい事はたくさんあるのですが、徐々に投稿していければと思います。今日は先日演奏してもらった新曲の録音のご紹介です。

以前、5月の投稿「日本的な物」の中でご紹介した、百人一首を題材にしたテナーと弦楽四重奏のための歌曲です。

藤原敦忠による「逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり」という句に、和歌を読み上げる時の節をメロディーのモチーフとして書きました。

夜、男が自分の屋敷の庭から月を見上げている。その静かな情景の中で、その心の内は実に激しく揺れ動いている、という状況を描いてみたいと思いました。

聴いて頂ければ嬉しいです。

2013年6月10日月曜日

"ピアノ三重奏第一番"


4月のリサイタルの録音の中から「ピアノ三重奏第一番」のビデオをYoutubeにアップロードしました。

この曲はアメリカに来て2曲目に書いた曲で、先生から「ちょっと新しい方向で書いてみなさい」と言われて模索しながら書きました。結果的には学内のコンクールで賞を頂き、カーネギーホールの小ホールでの演奏の機会にも恵まれた思い出深い曲です。今回のリサイタルでの演奏にあたって少し改訂を加えたことと、丁寧にリハーサルをしてもらえたことで、ようやく納得のいくレコーディングを得る事ができたと嬉しく思っています。

曲の背景には「ハーメルンの笛吹き」のストーリーを込めていて、各楽器は
バイオリン:笛吹きの笛の音
チェロ:笛の音に誘われて行進する子どもたち
ピアノ:笛吹きの心の葛藤
のキャラクターを担っています。

ビデオではありますが、リサイタルに来て頂けなかった皆様にも楽しんで頂ければ幸いです。


2013年6月9日日曜日

散文:色めがね


たまに世界が違って見えることがある。
見知らぬ土地を旅して帰ると、時々そうなる。

いつもの電車も、近所の街並みも、自分の部屋すらも、何かよそよそしい。
まるで色付きメガネを通して見ているかのよう。

遠い地で彷徨った不安がまとわりついて離れないのか。
道に迷った心のまま身体だけが帰ってきたというのか。

ああ、何でもいい、誰でもいいからつなぎとめてくれないか。
どうか私をこの世界に連れ戻して。

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先月のことになりますが、Steinwein & Sonsのピアノ工場見学に行って来ました。それまで知らなかったのですが、本社/工場がニューヨークにあるのです。

週一回、約3時間の工場見学ツアーが無料で一般公開されているのですが、一回約15人までの予約制のため、昨年12月に予約して約半年待ちました。

参加してみると、引退したベテラン職人さんがものすごく細かく説明してくれながらピアノ制作の各工程を巡る、実にぎっしりつまったツアーでした。

ピアノの木枠は、薄い板を何枚も特別な天然のりで張り合わせ、乾く前に型に沿って固定することであの形を作るのだということ、乾かすのに約半年かけるのだということ、乾かす過程での伸び縮みが木によって違うために最終的に微妙に全てのピアノが違うサイズになるのだということなど知りました。

また、昔ながらの製法を守り続けているために、スタインウェイのピアノはどれだけ古くなっても木枠さえ無事なら工場が引き取って修繕することが可能なのだそうです。

色々な情報を聞く度に「なるほどなあ」と感銘をうけ、またあの大きなピアノの1つ1つの部分が作られていく過程、それが組み合わされてピアノに完成される過程を見ること自体がとても大きな感激でした。

ただ、ともかく情報量が多く、工場の中には制作過程で発生する様々な匂いが立ちこめていたり、工場自体も少し郊外にあり、家に帰って来た時にはなんだかぼんやりしてしまい、散文のような気分になりました。ちなみに今はもうこちらの世界に戻って来ておりますのでどうかご心配なく。。。(実際こういうときは友達と他愛のない話をしたり、家事をしたり普通にしていると大抵平気になりますね。)

2013年6月5日水曜日

散文:今日も静かに


哀しい人々が地球を回す

果てしない哀しみと共に生まれた
彼らはひたすらに働く

哀しみを振り切るように
ささやかな幸せを託すように
今日も静かに

哀しい人々が地球を回す

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先日あったコンサートの前夜、コンサートプログラムの制作責任者としてプログラムを黙々と製本しながら思ったことです。当時はコンサートのリハーサルと、運営面で請け負っている仕事、抱えている他のプロジェクト等のために毎日睡眠を削ってようやく間に合わせる状況でした。疲れきっていて、それでいてまだ他に心配なことが山ほどあるのに、なぜ自分は今猛然とかつ冷静にプログラム折りに取り組んでいるのだろうと思いました。(もちろん次の日がコンサートだったからですが。。。)するとなんだか「そうでもしていないと哀しいから」という気もしました。この時はストレスもあったのと、誕生日前で少しナーバスにもなっていたのだと思います。

しかしそう思うと、身近に尊敬する、いつも忙しく仕事をしている人たちはどこかかすかに寂しそうだなという気もしました。どれだけ実績や地位があっても止まることなく、駆り立てられるように難しい仕事に挑み続ける。その原動力は実は「理由のない哀しさ」だったりするのではないか。仕事からの一瞬の現実逃避が見せた感傷です。

2013年6月2日日曜日

誕生日

ここ数週間の間はとても目まぐるしい日々だったのですが、昨日はその最中に節目の誕生日を迎えることができました。ショーのアシスタントとして1日中シアターに入っていたのですが、キャストの皆さんもお祝いしてくれて、休憩時間に外に出るとお天気も良く、お誕生日メールをもらったのを読んではほっこりとして、そして夜には友達がサプライズでお祝いしてくれて「忙しかったけれど良いお誕生日を迎えられたなあ」と嬉しく思いました。メッセージを頂いた皆様、ありがとうございます!!数日中にはお礼メールを書かせて頂きますので、もうすこしだけお時間頂ければ幸いです。。。

近頃は書きたい事がいっぱい浮かんでくる毎日なのですが、どうにも書く時間がとれずに気持ちだけが胸に溜まってきて、「王様の耳はロバの耳ー!」と地面に穴を掘って叫びたくなった床屋さんの気持ちがわかるような気がします。

近況としましては、とりかかっていた2つめの作曲を仕上げて、その直後にコーラスのコンサートの準備にかかり切りになり、そのコンサートが終わった途端お手伝いしているショーの本番が始まり、今日が中日だったという状況です。もう少し落ち着いたら、色々と思った事など綴っていければと思っています。