2014年11月26日水曜日

「フランシーンみたいな友達」、「そばにいるよ」


また少し間が開いてしまいました。今日はニューヨーク市に今年初の雪(どちらかというとみぞれ)が降り、冷たい一日でした。それでも明日はサンクスギビングなので、街には買い物の人出が多かったです。

ところでつい先日、以前こちらのブログにも書いた"Musical Speed Dating"のビデオをYoutubeに載せてもらったので、その中から私の曲2曲をご紹介させて頂きます。


こちらは、「フランシーンみたいな友達」というタイトルの曲で、"Clybourne park"というお芝居に対して書いたコメディーソングです。このシーンの舞台は1959年のアメリカで、白人ばかりが住む団地に初めて黒人の一家が引っ越してくることになり、コミュニティーではその事をどう阻止するか、いや受け入れるべきだ、という論争が巻き起こります。この歌では、平和主義者のベブという主婦が、なんとか皆の論争を鎮めようと、黒人で彼女の家のメイドのフランシーンと自分との”友情”のエピソードを語って皆を説得しようと試みます。マイペースな彼女の必死の説得はどうも少し強引で、また彼女自身の無意識の差別心も時々見え隠れする。。という歌です。ベブ役の女優さんの名演もさることながら、フランシーン役の女優さんの何とも言えないリアクションが絶妙です。


変わってこちらは、昨年のBMIワークショップの最終課題として書いた”6語以下で”という、小説家のアーネスト・ヘミングウェイと父親との関係を題材にした10分間のオリジナル・ミュージカルから、「そばにいるよ」という曲です。物語は、主人公のアーネストが父親を亡くした直後に自分と父親との関係を振り返る過程を描いています。この曲は、アーネストが生まれる直前に、母親からアーネストを身籠った事を知らされた父親が「この子の為に何でもしてやるんだ!」と喜びに満ちて歌う曲です。これはアーネストの想像によるシーンなのですが、結局彼はこの時こそ父親は最も幸せだったと考え、自分が生まれない方がよかったのではないかと結論づける悲しいラストにつながるのですが、それだけにこの曲は幸せに満ちたものになるよう書き上げるのに腐心しました。

聴いて頂ければ幸いです!

2014年11月16日日曜日

ホリデー・アンダー・スター


ここ数日、NYもめっきり寒くなりました。まだ一桁台の温度はありますが、これからもっと寒くなるのだと思うとよけい寒く感じてしまいます。

寒くなると同時に、街中のイルミネーションも増えてきました。昨日はコロンバス・サークルのタイムワーナー・センターに立ち寄ったのですが、ここのショッピング・モールの冬の風物詩、ホリデー・アンダー・スターが始まっていました。

吹き抜けの天井から下げられた星形のランプはその姿だけでもきれいですが、午後5時から夜12時までの間には、館内に流れるクリスマス・ミュージックに合わせて光が踊ります。曲ごとに、あらかじめ光の振り付けがされているのだそうです。

明るい光を見て、クリスマスの音楽を聴くと、外は寒いながらも気持ちはどこかほっと温かくなるような気がしました。そこでふと、冬にイルミネーションが増えるのはもしかして「夏には怖い話をして暑さを凌ごう」という日本の発想と、根本的には同じようなものなのかなと思いました(とはいえアメリカのお化け屋敷はハロウィーンに合わせて秋が盛況です)。

〈おまけ〉 
夜のカーネギー・ホールです。
ライトアップされた姿もまた美しいです。
少し京都の南座を思い出しました。

2014年11月12日水曜日

キャバレー


昨日無事"Musical Speed Dating"が終わりました。

キャバレーなので、丸テーブルを囲んでお酒を飲みながら歌を楽しむ、というスタイルのコンサートだったのですが、小さな会場ながら、昨日は駆けつけたお客さんが会場を満席にしてくれました。

Musical Speed Datingというタイトルは、BMIのクラスの様子を聞いた企画者が「まるでSpeed Dating(お見合いパーティー)みたい!」と思ってつけてくれたものです。というのも、BMIワークショップの一年目は、課題毎に作詞家と作曲家のペアが発表されて毎回違う相手と組んで曲を書いていたのですが、二年目は自分たちでライティング・パートナーを選んでペアを組んで書いて行く、というのがカリキュラムなのです。

昨日はその一年目のクラスで書いた曲が演奏されました。昨年のクラス内の発表では、クラスメートでお互いの曲を演奏し合っていたのですが(とはいえ俳優出身の人も多いので、皆かなりうまいのです)、実際の舞台で、役に合った俳優さんに歌ってもらうと、その曲がどういう風に仕上がっているのかがよりよく見えました。そして曲についての予備知識のないお客さんの反応からも、勉強させてもらいました。

個人的な課題としては、「限られたリハーサルの時間の中で何をどう伝えるか」だなあと思いました。というのも、リハーサルでテンポについて微調整をお願いしたつもりだったのですが、本番はかなり顕著に変わってしまっていて、意図が伝わっていなかったのだなあと反省した場面がありまして…。リハーサルの時間の使い方と、意図の伝わる音楽・楽譜の書き方は本当に勉強だなあと思います。

2014年11月8日土曜日

"Musical Speed Dating"


来週月曜日にもう一つコンサートがあります。"Musical Speed Dating"という、BMIのミュージカル・ライティングのワークショップの去年のクラスで書いた曲を特集したキャバレーで、私も2曲ほど演奏してもらいます。

去年のクラスでは、課題(「欲望という名の列車」、「素晴らしき哉、人生!」、「セールスマンの死」等)に対して約10曲ほど書いたのですが、せっかく書いたものの一般的なキャバレーでは発表する場がないということで、クラスの有志で立ち上げたコンサートです。

企画を担当してくれることになった俳優さんが、自身もブロードウェイ・プロダクションに出演経験のある人なのですが、今回ブロードウェイの舞台に現役で出演している俳優さんとディレクターさんを集めてくれて、小規模ながら本格的な舞台となりそうで嬉しいです。

先日リハーサルに顔を出して来たのですが、俳優さん達はやはり声量、表現力ともに素晴らしく、クラスメイトと「なんか良い曲書いたみたいな気がするねえ。」と喜んでいました。

またこちらにもレポートを書かせてもらいたいと思います。

2014年11月5日水曜日

スケートリンク


先日ブライアント・パークの近くを通りかかったので少しのぞいてみると、もうスケートリンクが開いていました。ついこの前まで広々とした芝生だったように思ったので(調べてみたら今年のスケートリンクは10月中旬から2月いっぱいまでだそうです)、季節の移り変わりの早さを感じます。

きらきらした光景に目を奪われました。(写真右下のカップルは意図して入れたわけではなかったのですが、よりロマンチックな光景になってしまいました 汗)

2014年11月2日日曜日

Masquerade


昨日は、お世話になっているチェリストの友人の主催するコンサートシリーズ、Listen Closelyのハロウィーン・コンサートがあり、弦楽四重奏第一番を演奏してもらいました。

今回のコンサートのタイトルは「Maequerade(仮面舞踏会)」で、NYC在住の若手作曲家6人による7曲が、地元の劇団関係者によるエドガー・アラン・ポーの作品の朗読と組み合わせて演奏されました。演奏会の前にはマスク・コンテストも行われ、とても素敵な雰囲気のコンサートでした。(写真は演奏会後の作曲家と演奏家の集合写真です)

演奏してもらった弦楽四重奏第一番は、2009年にアメリカに来て書いた最初の曲で、その後2013年にリサイタルをした際に改訂を加えて今の形になり、今回は友人からこの曲でとのリクエストでプログラムに加えてもらいました。

今回演奏してもらって嬉しい感動がありました。というのは、この曲は私の曲の中でも特に機能和声的な曲なので、新作を特集したコンサートの中で浮いてしまうのではと思っていたのですが、結果的にはその機能和声的な響きが、様々な新しい響きを聴いた後の耳には「箸休め」的な役割を果たしたようで、後で演奏者やお客さんから「この曲を聴いてほっとして、次の曲もまた新たな気持ちで楽しめた。」と感想をもらえました。

そこにいるお客さんを楽しませること、演奏会全体の満足感に貢献できることは、本当に嬉しいです。機能和声が好きで、なかなかそこから離れた音楽を書けないことが作曲家としての葛藤でもありますが、好きなものを書いた結果、その曲にコンサート・ミュージックとしての居場所を見つけられればこれ以上幸せなことはないなと思います。

初演から5年も経ってようやく、客観的に演奏を楽しみながら聴けたことも嬉しかったです。


〜お知らせ〜
すみません、最近スパム・コメントが相次いだので、しばらくコメント欄はお休みさせて頂きます。また時期を見て再開させてもらいたいと思います。