気がつけば今年ももうすぐ師走!皆様いかがお過ごしでしょうか。今年は秋からプロジェクトや仕事が立て続き、目まぐるしい日々でした。書きたかったことを、これから少しずつキャッチアップしていきたいと思います。
少し前になってしまいましたが、10月の頭に、王健治さんの二作目のオペラ、Shizue: An American Storyの世界初演を観に、オレゴン州ポートランドに行ってきました!
カーテンコール! |
劇場前にて! |
今回のオペラはポートランドオペラのOur Oregon Projectという教育的プログラムの一環として委嘱されたもので、戦前に岡山からオレゴンへ移住した日系一世の詩人、岩月静恵さんの目を通してJapanese Americanの物語が描かれています。
オレゴン、フッドリバーで果樹園を営むKamegoroからの求婚を受けて移住した彼女は、日系人であるがゆえの困難に度々直面しながら、それらを生け花、茶道、短歌といった芸術に結実させ、コミュニティーを築きながら乗り越えてゆきます。作中で描かれる第二次世界大戦中の強制収容所での日々、そしてその後も長く続いた日系人の苦難の様子には様々なことを考えさせられ、胸の苦しくなる思いでした。しかし作品を通して健治さんの、静恵さんへの尊敬を込めて丁寧に構築し感性豊かに綴られた音楽に導かれて、大きな視点から「生きる」ということの根源を追求した彼女の生涯を清々しい気持ちで見届けることができました。
公演後のトークバックでは、静恵さんのご親族や、彼女を知る方々のお話も聞けて、感慨深いと共に、この歴史と今が地続きであるということをひしひしと感じました。
このプロダクションは、初演から引き続いて二ヶ月余りに渡るツアーに出発し、オレゴン州全域を巡回して劇場や学校、地域コミュニティで公演を続けています。キャストの皆さんは初演の時点で既に本当に素晴らしいかったですが、静恵さんが生きたオレゴンを旅して公演を続けられる中で、パフォーマンスはさらに深みを増しているだろうなと思いを馳せています。ぜひこの作品が旅を続け、近い将来にぜひ東海岸、そして日本でも公演されることを期待しています!
作品のタイトルが映ったマーキー前にて! |