2016年5月24日火曜日
散文:たくさんの世界
時々旅をしたくなるのは
知らない景色の中に佇み
新たに沸き起こる感覚を味わいたいから
しかし、そのために遠くへ行く必要はないのかもしれない
今まで通ったことのない路地に足を踏み入れ
前を通り過ぎるだけだった建物に入れば
そこはきっともう別世界
そこに生きる人々と生活圏を共有していたにも関わらず
これ程身近に自分の知らない世界が息づいていることに
気がつかなかった
そういう風にして無数の世界が
位相を異にするようにひっそりと
共存しているのだと思う
この世界の中に
どれだけ多くの世界を知ることができるだろうか
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以前あるミュージカルの稽古に参加していたときに、稽古の進行を待つ間、ふと役者さんの持つ小道具を見つめていて持った雑感です。その小道具は舞台用に作られたものではなく、伝統的な手法で作られるもので、その道具そのものを舞台でも使用していたのですが、ふとそれを作っているのはどんな人で、どんな場所で作っているのだろう、そこではどんな日常が流れているのだろう。と一気に想像が膨らんだのでした。
アメリカに住むようになってから、日本とアメリカという大きく環境の違う二つの世界を比べて見ることが多くなりましたが、実のところは日本にせよアメリカにせよ、知っている世界というのはごく限られた範囲に過ぎず、生活圏の中にすら知らない世界がいっぱいあるのだろうなと思いました。
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