最近、来月に本番のあるコロンビア大学のシアタープログラムの卒業制作ショーの音楽監督を引き受けたのですが、今週からリハーサルが始まりました。
内容は、ギリシャ悲劇の「オイディプス王」(予言された運命に抗おうとしながら、結局は予言通り父を殺し、母と結婚してしまったオイディプス王の悲劇)の続編にあたる物語で、"The Seven"というタイトルの、オイディプス王の2人の息子が主人公のお話です。
このショーでは、人名や地名はそのままながら、全編がヒップホップやR&B、ラップで語られ、ギリシャ悲劇の題材を通して現代における「呪い」とは何かということを問いかけます。
上演に際しては、このショーが前回上演された時に使われた音素材、トラックそのものを使用させてもらえるそうなので、本番もバンドはなく、役者さんは録音に乗って歌います。
今までの経験からするとアメリカで小規模なミュージカルを上演する場合には、音楽監督がリハーサルでも本番でもピアノで全曲伴奏するのが一般的なのですが、今回は「伴奏」というものもないので、どちらかというと歌唱指導といった感じで役者さんに曲を教えるのがメインの仕事です。
準備にかけられる時間が限られている中でそれは助かるのですが、課題は全編通して大半がラップだということです・・・。ラップに経験がない上に、英語で!?というだけで怖じ気づいて、当初は「コーラスやメロディーのある曲の指導に専念する」ということで仕事を受けさせてもらったのですが、結局リハーサルの場面になると役者さんに「リズムがどうなってるかだけ教えてくれればいいから☆」と言われてしまい、そうなるとやはりある程度自分で歌えなければならないわけで、幸い楽譜があるので現在特訓中です・・・。
同時に並行して、前から友人に頼まれていた曲を作曲中なのですが、その曲がかなりメルヒェンな感じなので、ヒップホップの世界とのギャップが大きく、二つの世界を行ったり来たり、なかなかシュールな日々を過ごしております。いずれもチャレンジングな状況ですががんばりたいと思います。