他者の自分に対する対応は、必ずしも自分の振る舞いや意図への妥当な評価とは限らない、とは分かっていても、やはり人に冷たくされれば堪え、優しくされればほろりとなるのが「人間だもの」と思います。
先日友人のミュージカルのリーディングを観に行って、そこで隣り合わせた人との一期一会に後者を実感しました。
会場はニューヨークのミッドタウンのディナーシアターで、テーブル席が所狭しと並んでいる奥にステージのあるキャバレークラブでした。四人がけの丸テーブルに、チケットと到着時間によって順に案内されるので、一人で行くと自然と相席になります。(誰かと誘い合わせて行けば良いのですが、思いついたら割と一人で行ってしまいます。)相席になったのは感じの良い女性二人で、席についてそれぞれメニューを見たりして雰囲気を探っていると、どうやら二人は共通の知り合いがいるようで、会話が弾み始めました。そういうことならと、あえて気を遣わせないように黙々と注文したお料理を食べたりして開演前の時間を過ごしていました。いざショーが始まるとなった時に、演出の一環で、直前に各テーブルに配られていた飴を観客全員で食べる、という瞬間がありました。状況が完全には把握できずに躊躇っていた私に、すっと隣の女性がテーブル上の飴を一個私の方に差し出してくれました。思いがけない親切にありがとうと見上げると、なんてことないといった穏やかな笑顔で応えてくれました。おかげで私もその遊び心溢れる瞬間に参加することができて、飴の美味しさと、その人の優しさをしみじみと感じながら、会場と一体となってショーを楽しむことができました。気にしていないつもりでしたが、アウェーな場所で一瞬不安になった時に、誰かが気にかけて輪に招き入れてくれたことが深く心に沁みました。
冒頭の話に戻ると、今回傾けてもらった親切は私の存在への評価ではなく、あきらかに彼女の人徳です。それでいて、それに触れた私は大いに癒されました。そういう、さりげなく大きなインパクトのある親切は、とても尊いものだと思います。自分もそういう風に人に接することができるようになりたいものです。
