2026年9月10日木曜日

読書する人

 

"To Kill a Mockingbird"を読み終わりました。英語で書かれた小説を読み切ったのはこれが初めてで、物語の余韻と共に達成感に浸っています。

読書家の友達が、会う度に「今何読んでるの?」と聞いてくれるのですが、これと答えられないことが多く、それを変えたいなとお勧めを聞いたところ、選んでくれたのがこの本で、数ヶ月前から読み進めていました。

アメリカでの生活も18年目になり、英語を使うことへのソワソワ感は随分和らいできたと感じます。ただ、ミュージカルや映画で触れる機会があった以外には、自発的に小説を読むということをしてきておらず、友人たちが読んできたアメリカ文学のほとんどを知らないのだなあと思うと、急にまたソワソワしてきます。たとえ一冊読んだところで。。。という気もしますが、そういう時に思い出す高校時代の思い出があります。

校外学習で大阪の国立民族学博物館に行ったのですが、友人と自由に見て回った後、集合時間になって『校外学習のしおり』の中に「展示物の中の何か一つで良いからメモをしなさい。校外学習後、最初の地理の授業に持ってくること。」という欄があったことに気づきました。

校外学習なので当然な流れですが、「何もメモしていない…」と真っ青になりました。ただ、友達と名前の音が気に入って、やたらと盛り上がった「モッキロギ」という鳥の置物があったことを思い出し、ひたすらそれを全面に押し出して乗り切りました(と信じています)。

国立民族学博物館の、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに及ぶ充実した常設展示の中で、何を見たかと問われて一つしか名前が上げられないというのは、我ながらなんて暢気だったのだろうと思いますが、でも逆に「一つあるだけでも違う」ということを強く感じた出来事でもありました。

アメリカ文学の世界も広大ですが、一つ読んだという経験をとっかかりにして、私も「本を読む人」になっていきたいと思います。

2026年9月7日月曜日

演奏動画:Suite for Creative Pianists

パンデミック中に、Abundant Silenceからの委嘱で作曲したピアノ組曲、Suite for Creative Pianistsの演奏動画をYouTubeにアップロードしました。

楽譜を見ながら音源が聴けるScore followerのビデオは上げてあったのですが、楽章別のビデオもとずっと作りたいと思っていて、ようやくタイミングを見つけて作成することができました。

パンデミックの最中、先行きが見通せない中で、Abundant Silenceがこの委嘱を打診してくれて、そしてクラウドファンディングを通して多くの方にサポートして頂いて完成したこの組曲には、殊更思い入れがあります。聴いて頂けたら嬉しいです。





2026年9月5日土曜日

筆跡

(内容には関係ないのですが、先日夏の名残で食べて美味しかったジェラートです。)

子どもの頃、学校の授業中に指名されて黒板にチョークで書いた字が、歪ながらも自分の字だなと認識できることを不思議に思いました。

字を書く、という経験のほとんどを鉛筆でノートに書くことで積み上げてきて、チョークで黒板に書く経験は数回しかしていないのに、それでも筆跡というのは一貫しているのかと。結局自分の中にある「この字はこんな形、こういうふうに書きたい」という価値基準が一貫しているからかと納得しました。

そう考えると、持っている価値基準と、それを出力できる能力の間には、多かれ少なかれギャップがあるんだろうなとも思われて、言うなれば、トップクラスの演奏家などは、価値基準そのもの(芸術性)とそれを安定して体現する技術と精神力を極めた人たちかと思います。

そのようなレベルではないながら、自分もピアノと共に人生を歩んでくることができて「こう弾きたい」という価値基準はそれなりにあるのだけれど、それを100%体現できているわけでもないのだよな、と思いつつ、人生もそうかなとも思います。

色々な人との出会いや経験の中で「こういう人になりたい。こういう人でありたい。」という価値観を更新しながら、だんだん上手になったり、調子が悪い日にはそう振る舞えなかったり。そういうことを繰り返して、その人が「こんな人だった」という軌跡が残っていくのかなと。

ヒット曲、"9 to 5"の作者としても有名なドリー・パートン(偉大なシンガーソングライターであると同時に、多大な音楽収益を人々に還元した人道支援家)が先日亡くなったのですが、追悼で様々な名言が取り上げられる中、雑誌『ピープル』(People)のインタビューの中で "I'm a very professional Dolly Parton."と語っているのを聞いて、彼女の見事な生き様も合わせて、自分も自分の専門家として人生を重ねて行きたいと思いを新たにしています。