2018年2月14日水曜日

散文:天下人


欲しいと願ったものを努力の末
幸運にも手にできた時の嬉しさと驚きは
まるで天下を取ったような気分だ。

それは例えば運動会のリレー競争での一等賞であり
成功させたかった演奏がうまくいくことであり
憧れの人にお褒めの言葉をもらう事であり
好きな人と両思いだとわかる事である。

すなわち映画の『タイタニック』でジャックが
舳先に立って風を切りながら「俺は世界の王だー!」
と叫んだ心境が理解できるような時である。

自分だけのアチーブメント、世界は特に変わっていない。
それでも自分の幸運を尊く感じて誇らしい、一人王様になったかのような気分。
そんな風にして、世界には日々あちこちで天下人が生まれている。

********

久々の散文です。
高校の時の体育祭で、実際にクラス対抗リレーで一位を取ったときの感想が原点になっています。クラスで選抜されたメンバーで自主的に集まってバトンパス等の練習をし、体育の合同練習の時にもなんとか勝ててはいたのですが、実際の本番で一位を取る事ができた時の「本当に勝てた!」という感慨は大きなものでした。その時「今はオリンピック選手が金メダルをとった時と同じ位嬉しい気がする。」と思いました。舞台の高さも、そこに人生をかけているということや背負っているものの重みも比べようもなく、大それた感想なのですが、それでもどこか「きっとこういうことなんじゃないかな」と閃くところがあり、印象に残っています。毎日あることではないですが、誰しも人生の中にはきっと何日かそういう風に「俺は世界の王だー!」と思えるような時があって、人生の一つの醍醐味なのではという気がします。