2015年7月23日木曜日

"Isn't It Nice"


今日は二曲目の"Isn't It Nice(素敵じゃない)"をご紹介させて頂きます。

この曲では、諸事情あってお互いに気持ちを伝えられずにいる若者のカップルと大人のカップルが、他方のカップルが今何をしているか想像することで、次第にお互いに対する素直な気持ちを語るようになっていきます。

キャラクターは映像の左から、
ケイコ(日本の垂水に住む少女)
スティーブン(結核の療養のため垂水にやって来た中国人の青年)
マツ(スティーブンの家族が所有する垂水の別荘の使用人、造園の達人)
サチ(マツの幼なじみ、ハンセン氏病のため普段は隔離された村で暮らしている)
です。

シーンとしては、この歌の直前に大嵐が垂水を襲い、マツの庭も大きな被害を受けたものの、皆なんとか無事だった。というところです。(時代設定は1936年です。)

以下に意訳をつけさせて頂きます。お楽しみ頂ければ幸いです!

*****
ケイコ「さっき庭で出会った女の人は…、あなたのお母さん?」

スティーブン「いや、サチは、マツの友達だよ。」

ケイコ「友達ね…。彼ら、今何してると思う?」

スティーブン「庭仕事。」

ケイコ「それだけ?」

スティーブン「マツは庭仕事が大好きなんだよ。」

ケイコ「いいわ。じゃ彼らは今庭仕事をしていて、


 ”素敵じゃない”

彼女はここに、そして彼はそこにいるの。道具を渡し合ったりしながら、彼女が彼の方を向いてこう言うわ」


ケイコ
『庭にいるのって素敵じゃない?
土が柔らかで滑らかだわ。』

スティーブン「そしたらマツはこう言うんだ」


スティーブン
『でも薔薇はダメになってしまった。』

ケイコ
『また育つじゃない、そうでしょ?』

スティーブン
『池もむちゃくちゃだ。』

ケイコ
『それでもきれいよ。
マツ、私ここにいるの好きだわ。
素敵じゃない?』


サチ「あの子達、浜辺で何しているかしら?」

マツ「歩いてる。」

サチ「それだけ?」

マツ「スティーブンは歩くのが好きだ。」

サチ「いいわ、それじゃ彼らは歩いていて、そして彼女が振り向いてこう言うの。」



サチ
『冬に散歩するのって素敵じゃない?
周りには他に誰もいないわ。』

マツ「でもスティーブンは気が気じゃない」


マツ
『誰かがそこにいる気がする!』

サチ
『心配するのはやめて、おねがいよ?』

マツ
『もし誰かに見られていたら?』

サチ
『あり得ないわ。
スティーブン、私たちだけ、二人きりよ。
素敵じゃない?』

ケイコ
『全てが穏やかだわ』

スティーブン
『そして何もかもが正しい気がする。』

サチ
『あなたの指の震えも感じられるわ。』

マツ
『君の鼓動すら感じられそうだ!』

マツ&スティーブン
『素敵じゃないか?』

サチ&ケイコ
『素敵じゃない?』

スティーブン、ケイコ、マツ、サチ
『素敵じゃない?』


スティーブン「だけどマツはそんなこと絶対に言わないよ。」

ケイコ「どうして?」

マツ「シャイだから。スティーブンは決して、」

サチ「知らない一面があるかも。」

ケイコ「もしかしたら彼女が、彼から大胆なところを引き出すかも。」

スティーブン「ともかく、僕らはこの浜辺で、あっちにいる彼らよりきっと素敵な時間を過ごしているよ。」

マツ「ともかく、あちらにいる彼らは、ここにいる私たちほどに素敵な時間は過ごしてはいまいよ。」



マツ
お日様の下にいるって素敵じゃないか?

ケイコ
日の光が射すのを見て!

サチ
雲の中に踊っているわ!

スティーブン
素敵だ、本当に!

マツ
そしてあの葉のきらめき。

ケイコ
本当に素晴らしいわ。

マツ/スティーブン
サチ/ケイコ、僕はここにいるのが好きだ、
素敵じゃないか?


ケイコ
町の外れにいるのって素敵じゃない?

マツ
噂好きの目を逃れて。

スティーブン
何を話してるか誰も知らない。

サチ
秘密なのよ!本当に!

ケイコ
何をしてるか誰も知らない。

マツ
見つかったら大目玉だ!

サチ/ケイコ
マツ/スティーブン、私たちだけ、二人きりよ、
素敵じゃない?

サチ
手を握ってもいいわよ。

マツ
しっかりと抱き寄せよう。

スティーブン
夕暮れまで抱きしめていたいぐらいだ。

ケイコ
それならずっと側にいて、離さないで…。
素敵じゃない?

マツ
素敵じゃないか?

ケイコ
素敵じゃない?

スティーブン
素敵じゃないか?

サチ
素敵じゃない?

スティーブン
素敵じゃないか?

スティーブン&ケイコ
もうどこへも行かない!
ここを離れはしない!
今まさに、あなたとここにいるのだから!

マツ&サチ
あなたの側を離れない。
もう決して寂しい思いはさせない。
ようやく一緒になれたのだから。

マツ&スティーブン
お日様の下にいるって素敵じゃないか?
日の光が射すのを見て!
雲の中に踊っている!
素敵だ、本当に!
そしてあの葉のきらめき。
本当に素晴らしい。
サチ/ケイコ、僕はここにいるのが好きだ、
素敵じゃないか?

サチ&ケイコ
手を握ってもいいわよ。
しっかりと抱き寄せるわ。
あなたの指の震えも感じられる。
あなたの鼓動すら感じられそうよ!
私ここにいるの好きだわ。
素敵じゃない?

スティーブン
素敵じゃないか?

ケイコ
素敵じゃない?

スティーブン
素敵じゃないか?

マツ
素敵じゃないか?

サチ
素敵じゃない?

マツ
素敵じゃないか?

ケイコ
素敵じゃない?

マツ&サチ
素敵じゃない…?

スティーブン&ケイコ
素敵じゃない…?

スティーブン、ケイコ、マツ、サチ
一緒にいられるのって、
素敵じゃない?

2015年7月22日水曜日

"Down The Track"



先日の最終作品発表の際のビデオがYoutubeにアップロードできましたので、その中から二曲ほどご紹介させて頂きます。今日は一曲目の"Down The Track(線路を下って)"を。

この作品はゲイル・ツキヤマによる「The Samurai's Garden(侍の庭)」という小説を原作としています。

時は1936年。作品の早い段階のこのシーンで私たちは、香港の狭苦しい街の中で17歳のスティーブン・チャンに出会います。

この歌の直前に、スティーブンは彼の進学先が、彼の望んだ遠方の美術学校ではなく、香港にほど近い標準的な大学に決まったという知らせを受け、落胆しました。妹のペネロペが、彼の気持ちを和らげようと、あまり役に立たないことをします。

意訳ですが以下に日本語訳を載せさせて頂きます。お楽しみ頂ければ幸いです。

*****

ペネロペ「お兄ちゃんはもうずっと父さんの下で働くしかないんだわ。一生!だって他になんにもできやしないんですもの。」

スティーブン「言ったな、僕が他に何をするか見てるがいいさ。」

ペネロペ「口ばっかり。」

”線路を下って”

スティーブン「いいや、口だけじゃないさ。見てろ、僕は香港を出て行くんだ。母さんや父さんも今にわかる。僕はRMSエンプレス・オブ・ブリテンに乗って船出するんだ!それか、パンナム クリッパーに乗って飛び立って見せる!」



スティーブン
もし僕が汽車になれるなら、
話は簡単さ
さっさと出発して
線路を下って行くんだ。

風はひゅーひゅー鳴って
目の前に曲がりくねった道が
どんどんほどけて行く
線路を下っていくだけで。

閉所恐怖症とはおさらばさ!
誰かブレーキを外して
火を焚いてくれ。

木々は一斉にぼやけて見えるかもしれない、
だけど一瞬にして僕の道は開ける。
ここを離れて
線路を下って行く程に。

(ペネロペ笑い出す)

スティーブン「わかったよ、何がそんなにおかしい?」

ペネロペ「お兄ちゃんが。」

スティーブン「僕?」

ペネロペ「バカじゃないの。汽車になんかなれるはずないじゃない…」



スティーブン
汽車になったらその次は、
最高に魅惑的な場所を訪ねるんだ
線路を下って。

ペネロペ
線路を下って。

スティーブン
万里の長城やタージ・マハル
そしてパリのルーブル美術館が
待っている。
線路を下ったすぐそこで。

ペネロペ
線路を下ったすぐそこで。

スティーブン
退屈とはさよならさ。
僕には冒険が必要なんだ。
決して飽きる事のない。

この場所はとてもついてこれないのさ。
新しい境界線のもつ興奮に

スティーブン&ペネロペ
ここを離れて
線路を下ったすぐそこの。

スティーブン
そして僕が、

ペネロペ
そしてお兄ちゃんが、

スティーブン
地上を駆け抜け、
有名な地を見届け、
走って行くにつれ、
君にも聴こえるだろう!

ペネロペ
聴こえるでしょう!

スティーブン
僕の汽笛で大気を満たし
静かな空を切り割いて行くんだ。
そして一瞬にして

ペネロペ
一瞬にして

スティーブン
僕は
向こう側にいる

ペネロペ
向こう側にいる

スティーブン
地球の向こう側に!

ペネロペ
地球の向こう側に!

スティーブン&ペネロペ
行き先なんてどこでもいい!

スティーブン 
たった1つだけ探しているものがあるんだ。

どこかにあるはずなんだ。
僕が自分の道を見つけて
頑張り通せるような居場所が
線路を下ったどこかに。

ペネロペ
線路を下ったどこかに。
あるかもしれない。

スティーブン
きっとあるはずだ。
ここを離れたどこかに。
ここを離れたどこかに。

*****

2015年7月1日水曜日

最終作品発表


今年も早くも折り返しの7月になりました。元旦の冷たい空気も清新な気持ちになりますが、夏の始まりに年の区切りを感じるのも悪くないなと思います。

先週BMIワークショップでの最終作品発表があり、6月後半は怒濤のように過ぎて行きました。この二年間の集大成と思うと気持ちも力も入り、ぎりぎりまで準備に追われましたが、結果は「やれることはやり切った」と思えるものでした。そしてつい先日その審査結果が通知され、無事三年目以降のクラス、Advanced Classに進む事ができました。大変ありがたいです。

発表の振り返りや2年間の復習などして、秋からのクラスに備えたいと思っています。