2023年11月20日月曜日

ハッピーバースデートゥーユー

先日ズームレッスンのピアノの生徒さんがお誕生日だったので、レッスンの最後にこの曲を弾かせてもらいました。誰かのために演奏できるというのは有難いことだなとしみじみ思いました。




このアレンジは自分で作ったものなのですが、お恥ずかしながら、弾く前に少しさらい直してからでないと音を外してしまいがちな箇所がいくつかあります。今回も演奏前に練習していると、なんと見せ場で音を外してしまったり、なかなか盛り上がらなかったりで、大丈夫かなあと思いつつ時間になってしまったのでレッスンに臨みました。


しかしいざ、ご家族も画面の前に集まってくれて、「おめでとう!」と言って弾き始めると、お祝いの気持ちが込み上げてきて、多少のミスタッチはしてしまったものの大きなミスはなく、練習の時よりよほど素敵に弾けました。生徒さんも喜んでくれてホッとしました。


演奏だけでなく作曲にしても、作り上げている過程では作品それ自体の精度ばかりに囚われてしまいがちなのですが、実際は聴いてくれる人がいて初めて本来の姿を表すことができるのだと思いました。そもそも届けたい人たちがいるからこそ作っているのだ、と忘れないようにしたいです。

2023年11月6日月曜日

The Emissary

先週末になりますが、京都教育大時代からの友人である作曲家王健治さんが書かれた初のオペラ、The Emissary(原作:多和田葉子「献灯使」)の初演をサンフランシスコに観に行ってきました!


 


Opera Parallèleという、サンフランシスコ・ベイエリアで現代オペラの制作と公演を精力的に行っているオペラカンパニーからの委嘱を受けた」という制作の初期段階から話を聞かせてもらっていたので、初演を観ることができて感無量でした。


この作品はHands-On-Operaという、あらゆる年齢の学生達にオペラを体験できる機会を創出する為のプログラムの元に生み出され、今回は高校生の合唱団がプロのオペラ歌手との共演を果たしました。


クラシックの勉強をした作曲家であれば、いつかはオペラを書いてみたいという憧れが大なり小なりあるように個人的には思っているのですが、実際に書くとなると想像するだけで圧倒されてしまいます。委嘱の意図を汲んだ題材選びから始まり、リブレティストと台本を練り上げ、オペラというフォームを咀嚼し独自の音楽的なストーリーテリングを模索しながら、プロのオペラ歌手が存分に力を発揮できるように、かつ今回に関しては音楽的経験がまだ浅い高校生達に達成可能でやりがいのある歌を書き、その世界観を支えるオーケストレーションをし、そして初演までのリハーサル期間には多くのアーティストと協働して最後まで微調整を続ける…。側から見せてもらっていただけですが、制作の最初から最後まで、その大半を一人で走り続ける、マラソンのようなものだと実感しました。


終演後のレセプションにも参加させてもらったのですが、そうやって健治さんが作り上げた作品の世界が、今これだけたくさんの人に共有されて、高校生はもちろんプロダクションを支えた一人一人が「自分の作品」と誇らしく思い、公演の成功を喜んでいるその空気を肌で感じることができて益々嬉しくなりました。


この作品が今後も各地で演奏され続けることを願ってやみません。

2023年10月23日月曜日

イスラエル・パレスチナ情勢


ニューヨーク州は、イスラエルの外では最も多くのユダヤ人が暮らす場所です。それだけに、現在刻一刻と変化するイスラエル・パレスチナ情勢を、知人を辿れば程なく当事者に辿り着いてしまう身近さで感じることも多く、心が痛いです。


先日は、大学の声楽のレッスン(伴奏の仕事で参加しています)で、レッスンの終わりにそのような話の流れになり、ある、他国によって分断された国をルーツに持つ学生が自身の経験と考えを声楽の先生と私に率直に語ってくれました。ある国に対してそれほどに強い感情を持って生きてきた彼女の声に、ただ神妙な気持ちで耳を傾けるばかりでしたが、先生はともかく私までその場に立ち合わせてくれた信頼に感謝すると共に、今こそこのような会話を身近な人と持つことの大切さを思いました。


ニューヨーカーの抱えている背景の多様さを思い出させられる出来事でもあり、世界のことについて、また自分のルーツについても、積極的に学ばなくてはと思いました。


最後に、支援を受け付けている主な中東の人道的活動組織と、その活動の概要を挙げさせてもらいます(詳しくは各団体のサイトでご確認ください)。支援を検討されている際には役立てて頂ければ幸いです。


Jewish Federations of North America:テロの被害者の支援、被害を受けたインフラの再建、攻撃によって引き起こされたトラウマへの対応に当たっている。

United Hatzalah:ボランティアの救急救命士、救急隊員、医師たちに救命活動と自身の安全を守るための器材を用意する資金を調達するための緊急援助要請を出した。

American Friends of Magen David Adom:赤十字社の一部であるMagen David Adom (MDA)はイスラエルにおける救急医療と血液バンクの提供を行なっている。

Save The Children:子供に集中化した緊急支援を受け付けている。

Doctors Without Borders:現在進行中のウエストバンクとガザでの衝突に影響を受けた人々に医療的、及び心理的サポートを提供している。

UN Relief and Works Agency:ガザで住居を追われた家族に、避難場所、緊急医療、遠隔での心理的サポート及び心理的応急処置等の緊急支援を提供している。

International Committee of the Red Cross/Red Crescent:イスラエルと占領されたパレスチナ領域の人々を支援するための緊急義援金を受け付けている。

ANERA:ガザ、ウエストバンク、そして東エルサレムでの更なる緊急人道支援に向けて奔走している。

Palestine Children’s Relief Fund:支援の必要な子供たちに集中治療と基本的な支援を提供している。

Jewish Agency Fund for Terror Victims:テロ行為が勃発した際に第一対応者として、24-48時間以内に駆けつけ、被害者に即時サポートを提供すると共に、長期にわたるリハビリテーションサポートも行なっている。

JGive National Emergency Fund:今般の攻撃の被害者とその家族にサポートを提供している。

2023年10月9日月曜日

公演無事に終了しました!

 

  


ご報告が遅くなってしまいましたが、先月末・今月頭にかけての関西での2公演が無事に終演致しました。


今回も駆けつけることは叶わず、NYCから成功を祈ることしかできませんでしたが、全てを担ってくれたコラボレーター達と関係者の皆さん、そして駆けつけて下さった恩師、友人、家族、心を寄せて下さった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。


日本でもアメリカでも、作品を公演してもらえる機会をさらに増やしていきたいと思っています。引き続き応援して頂ければ幸いです。

2023年8月19日土曜日

歌と物語と音楽と「異国ラビリンス」大阪公演 チケット発売開始!

歌と物語と音楽と「異国ラビリンス」大阪公演のお知らせです!


2023年9月29日(金)19:00開演

ドルチェ・アートホールOsaka(大阪梅田駅 徒歩3分)

出演:タイソン大屋/田中美央/内田靖子/秋本奈緒美/奥田祐(ピアノ)


芥川龍之介・谷崎潤一郎の異国情緒あふれる近代日本文学、そしてウィリアム・トレヴァーによる旅情世界を朗読、歌と生演奏でお届けします。音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』からのシーンと歌もプログラムに含まれていて、素晴らしい出演者の皆さんによる、楽しみすぎるコンサートです!!


異国への憧憬を呼び覚ます素敵なチラシの完成と共に、本日8/19 10:00よりチケット発売中!


https://t.livepocket.jp/e/onpuma2023


今年は秋に日本で自分の関わった作品の公演に恵まれ、ありがたい気持ちでいっぱいです。


関西の皆様、ぜひ10/1音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』神戸公演と合わせて、こちらのコンサートにもお越し頂けたら幸いです。よろしくお願いします

2023年8月5日土曜日

ミュージカル創作ワークショップ 有料アーカイブ動画 〜AABA形式、CEソング【分析編】〜


ミュージカルライターズジャパンで開催してきたミュージカル創作ワークショップの有料アーカイブ動画が新たに公開されました!


初回であるAABA形式の回と、6月に終えたばかりのCEソング【分析編】が加わって、これでここまで担当させて頂いたワークショップの動画が全て公開されたことになります。コツコツと積み重ねてきたワークショップが、これから興味を持って下さった方にいつでもアクセスして頂けるようになって嬉しいです。もちろんWSにご参加下さった方の復習用にも!


以下に改めてリンクをご紹介させて頂きます。

「ミュージカル創作ワークショップ2022 第1回」AABA形式 (アーカイブ動画) <全3回>

「ミュージカル創作ワークショップ 第2回(1)」CEソング【導入編】アーカイブ動画 <全2回>

「ミュージカル創作ワークショップ 第2回(2)」CEソング【分析編】アーカイブ動画 <全2回>


ミュージカルを作っている・作りたい方はもちろん、ミュージカルの作りに興味のある方にも、ぜひたくさん観ていただけたらと願っています

2023年8月3日木曜日

今思うハノンの良さ(その2)


ハノンピアノ教本に対する否定的な意見で目にしたものに、「ハノンを指の独立や指や上腕の強化の目的で使うと手を痛める可能性があり、また音楽的でない機械的な反復は生徒から音楽を聴く姿勢を奪ってしまう。」というものがありました。


ハノンが音楽的でないという見方には前回の投稿で考察した通り異論がありますが、故障に繋がりかねないという指摘はわからなくもないと思いました。


ただ、何を得る目的でその教材に取り組むか次第という気がしています。


確かに、ある程度上達した学習者がずっとハノンにこだわる必要はないと思います。既にスケール、コード、アルペジオを学習していて、様々な練習曲にアクセスできるなら、そちらに時間をかけたほうが良いと思います。ただ私は今、ハノンは導入課題としてとても優れているのではないか、と考えています。


良いと思う点は2点あって、1点目は楽譜が自在に読めるようになる前から沢山の音を弾けること、2点目は自分で出す音をコントロールする練習になること、です。


1点目については、ピアノを習い始めの生徒さんは並行して様々なことを学ばなくてはならず、特に読譜の習得には時間がかかるので、導入のメソッド本に載っている曲を弾くだけでは鍵盤に触れられる機会が非常に限られてしまいます。その点ハノンは、音のパターンを理解してしまえば読譜を解さずに弾けるので、沢山の音を弾く中で鍵盤に対しての体の使い方を自分なりに掴める機会を担保してくれると感じます。(もちろん姿勢や手や腕の使い方についての教師のフィードバックは不可欠ですが)


2点目は、弾けるようになったハノンをアーティキュレーションとリズム等様々なバリエーションで弾くことで、意識の中で自分の出す音を操作できる練習になる所が良いと思っています。というのも、読譜に手一杯の状態では自分が出している音を客観的に聴くことが難しいですが、一度パターンを習得したハノンなら「スタッカートで弾くぞ」と思って、そのように弾こうとする中で、指から感じる感覚や耳から入ってきた音と関連させて、主体的に音を作っていくことができます。また、「今はこのパターン」というのを全曲通して維持するのも初めは難しいので、それも良い練習になるなと感じています。


私自身、つい最近までそれほどハノンを導入時から積極的に使っていたわけではないのですが、オンラインの生徒さんが増える中で、実際にその場で弾いて見せたり、手を持ってあげて力加減を伝えたりできない中で、どうすれば早い段階から力の使い方を掴んでもらえるだろうかと試行錯誤する中で辿り着きました。


今思うのは、ハノンは読譜の学習に時間がかかる時期にも、体の使い方や主体的な音への関わり方のトレーニングも並行して進めることを可能にしてくれると感じています。これからさらに取り組んでいく中でまた思うことは変わってくるかもしれませんが、ひとまず今「ハノンいいなあ!」と盛り上がっているのでこれを機会にまとめさせて頂きました。


ちなみに、せっかくなので2つほどおもしろハノン情報を。


1つ目は、NHKのららら♪クラシックのハノン特集の回で取り上げられていて知ったのですが、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番第3楽章でハノンピアノ教本第一番が引用されているのです。Wikipediaによると、この曲はショスタコーヴィチが息子さんの19歳のお誕生日の為に書いたもので、息子さんが音楽院の卒業コンサートで初演したそうです。ハノンを曲中の3つのテーマのうちの一つに選んだのは卒業にちなんでのジョークだそうです。なんともチャーミングなのでぜひ聴いてみてください。澤田侑花さんの演奏がまた素晴らしいです。



2つ目は、ピアニストのマルク=アンドレ・アムランが今年のエープリルフールについた嘘で、ハノンピアノ教本の3枚組CDを出すというものです。あまりに素敵に弾くので、「えええ?」と思いつつ少し信じてしまいそうになりました。日本語字幕は残念ながらついていないのですが、こちらも良ければぜひ見てみて下さい。



2023年8月2日水曜日

今思うハノンの良さ(その1)

今日は少し、最近のピアノティーチングで感じていることを書きたいと思います。

この間ある生徒さんが、ハノンピアノ教本の第六番を弾き終わってこう言ってくれました。

「ハノンはとてもメロディックだと思うよ。なんでかわかる?それぞれのグループで半音の位置が違うからだよ。」

まだピアノを始めて一年と少しながら、音楽理論にも興味を持って日頃から色々な鋭い質問をしてくれる小学生の生徒さんなのですが、このコメントには脱帽でした。(以前「長調と短調以外に音階はないの?」と質問してくれた際に少しだけ教会旋法の話をしたこともあったので、その時に得たアイディアを無意識に応用してくれたのだと思います。)

白鍵だけで弾くハノンがハ長調をベースにしているのは確かですが、彼が指摘してくれた通り、個々のグループだけを見ればそれぞれが微妙に異なるメロディーであり、さらに言えば異なる教会旋法に属しているとも解釈できる、という視点に気づかせてもらってとても興奮しました。

以下にビデオを交えて実際に響きを聴きながら考察してみたいと思います。

まず教会旋法についてですが、以下、ヤマハの音楽用語ダスより定義を引用します。

中世ヨーロッパ音楽の基本となる7種類の音階。ドレミファソラシのそれぞれを基音として、各々の音から出発するスケール。アイオニアン・スケールは長音階、エオリアン・スケールは短音階として残っている。ジャズで使われるモード理論もここから派生している。

実際に弾いてみるとこのような響きです。


私は個人的には、これだとどれもそれなりにハ長調に聴こえてしまうのですが、聞き慣れたメロディーで試してみると違いがよくわかります。きらきら星をそれぞれの旋法で弾いてみました。


頭の中で一緒に歌っていると少しずつ違った音が鳴るので、度々小さな驚きが感じられます。ここまで来たところで、ハノンピアノ教本(原題はThe Virtuoso Pianist in 60 Exercises)の第一番の上行型を聴いてみましょう。


この流れで聴くと聴き慣れたハノンも「なるほどグループごとに表情が違うな!」と実感して頂けるのではないかと思います。ちなみに、もしハノンをハ長調ではなく、ハ長調の音階を基音とする長調の連なりとして弾くとこのような響きになります。


確かにそれぞれは長調の響きなのですが、ホ長調とロ長調から次の音へ行くときに増二度が発生してしまうので(ビデオではロ長調で終わっているのでニ個目の増二度は含まれていません)、正しく弾けていてもソワソワしてしまいます。これはこれで良い移調の練習になりそうですが。

以上、「単調で音楽的でない」と捉えられることも少なくないハノンですが、白鍵だけを使うことによって指の動きは同じながら実は音の関係は移ろっていること、よく耳を澄ますと飽きることのないメロディーの連なりであることに生徒さんのおかげで気づけて、旋法の観点から考察することができました。一緒に体験して下さりありがとうございます!

ちなみに、それでもハノンを弾き慣れてくると、それぞれのグループを大きな塊(始まりの音とその装飾)として捉えていると思うので、結局全体を大きなハ長調の音階と感じていて、実際に旋法としてクリアに感じている訳ではないと思います。ただ、弾いていてしみじみと飽きないのはこういう理由なんだなととても納得しています。

ハノンについてはこの気付きのほかに、導入課題としてとても有効だなとも感じているので、次回はその視点から思うことを書いてみたいと思います。

2023年7月29日土曜日

『オン・ザ・ザッテレ』チラシ完成・チケット発売中!




音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』神戸公演の素敵なチラシが完成・お披露目されました!色々とこだわりを盛り込んで下さっていて嬉しい限りです。



Tweetにもあるように、現在好評チケット発売中です。座席指定ができるので、お好みの席をとって頂くためにもどうぞお早めに!

<チケット取扱>

・西神中央ホール オンラインチケット https://p-ticket.jp/seishin/ 

・西神中央ホール電話予約 Tel.078-995-5638

・西神中央ホール窓口

・イープラス https://eplus.jp/sf/detail/3911030001


よろしくお願いします✨


2023年7月25日火曜日

ニューヨークの気候と虫事情

今日は少し生活のことについて書いてみたいと思います。ニューヨークに来て10年を過ぎましたが、最近気候変動の影響を感じざるを得ない環境の変化がいくつかあります。

先ほどもニューヨーク市から、今日の午後に鉄砲水警報、明日の午前から夜にかけて空気質注意報 (カナダの山火事による影響)、明後日に高温注意報と立て続けに注意喚起のメールが入り、こんなに重ならなくても。。。と思ったところです。

それに加えてニューヨークでは昨年からスポテッドランタンフライ(Spotted Lanternfly)という虫が大量発生していて(あえて写真は載せませんが、ご興味ある方はこちらのDAILYSUN NEW YORKの2021年の記事を見てみてください)、なかなかに厳しい状況です。というのも、この虫は幸い人間には危害を加えないのですが、繁殖力が強く、大量に群れて木の樹液を吸って弱らせてしまい、森林や農業に深刻な影響を与えるのです。

元々はアジアから来た虫で、アメリカでは2014年に、ニューヨークでは2020年に初めて報告されました。この虫のライフサイクルは一年ですが、一匹のメスが30-100の卵を産むことができるので、3年間で急激に増えてしまっています。それを受けて、2020年時点では見つけ次第踏み潰した上で州に報告を、という方針だったのが、もはや報告しなくて良いので見るなりできるだけ除去をと住民に呼びかけられています。

私の住んでいるエリアは木の多い公園が近いので、7月初旬からすでにたくさんの幼虫が現れていて、虫が成虫になってしまう前に少しでもと地道に踏む活動をしています。いくら害虫とはいえ、命を奪うということに毎回複雑な気分になりますが、去年の秋頃にミッドタウンの繁華街ですら沢山の成虫を見たことを思うと、虫の大量発生を少しでも遅らせるべく散歩の度に見回り活動をしています。

近所の人たちにも問題意識を持っている人が日に日に増えている印象で、踏んだり叩いたりしている人を見ると励まされます。そしてそれをきっかけに話しかけあって情報交換をしたり、近所の人と話す機会が増えました。聞いたところによると、市は積極的に殺虫剤を撒くのには慎重で(虫の移動を防ぐため積荷に関して規制をかけたり、天敵の導入を研究しているそうですが)、今発生している虫に対してはこれといった手立てが打たれていないことにフラストレーションを感じている人も多いようです。ただ、確かに送粉を担うハチをも除去してしまいかねない殺虫剤を可能な限りまきたくないのは理解できます。結局虫を一匹ずつやっつけるのが環境には一番負荷が少ないそうで。。。

この虫の厄介なところは、ノミのようにジャンプすることができるところで、それが踏むことを難しくしています。ただ、人それぞれに色々工夫している様子を見ていて、どうやら一番有効なのはハエ叩きのようだと感じ、私も先日それを導入したところです。それまではお散歩の時にはゆったりと木々を見上げて歩いていましたが、今やハエ叩きを片手に地面に目を光らせてのパトロールになってしまいました。。。それでも公園の木々を守るため、虫には申し訳ないと思いながらできる限り活動を続けようと思っています。

すっかり虫のお話になってしまいしたが…。お付き合いありがとうございました!

2023年7月15日土曜日

観劇記録:Camelot


 先日、リンカーンセンターのVivian Beaumont Theaterで開催中のアーサー王伝説を基にしたミュージカル、キャメロット(Camelot)のリバイバルを観劇してきました。何も知らずに観に行ったのですが(観劇はあえてあらすじ等何も調べずに観に行きたい派です)、観た後とても感じ入るところがありました。

 原作はMy Fair Ladyも手がけたFrederick Loewe(音楽)とAlan Jay Lerner(歌詞、脚本)による1960年の作品ですが、このプロダクションではA Few Good Menでも知られるAaron Sorkinが新たに脚本を書き下ろし、音楽はそのままで、作品が再構築されています。

 大きな変更としては魔法の要素が排除されていることで、理想の政治を実現しようとする過程で葛藤する人間同志のドラマに焦点が当てられています。

 特に、アーサーがエクスカリバーを引き抜くことができたのは「選ばれし者だったからではなく、それまでに何千人もの人がトライしたことで抜けやすくなっていたからだ」とグウィネビアが説くシーンがあり、そのセリフ自体は軽妙な会話のやり取りから生まれ客席から笑いも起こるのですが、作品の最後のメッセージともつながっていて新鮮でした。

 いくつか大手メディアの劇評も読んでみたところ、アーサー、グウィネビア、ランスロットの三角関係がうまく創出できていない、という評もありましたが、個人的には、「思いがけず王になった責任感の強い青年」、「政略結婚で妻となった王女」、「最も信頼される騎士」、という3人の中で、愛情にためらいがあったり、自分の気持ちと立場上あるべき振る舞いの中で揺れ動いていたり、不安が故に裏切ってしまったりと、誰かを悪者にすることなく関係性が崩れてしまう瞬間が描かれていて納得感がありました。

 また、こちらも劇評の中でも指摘されていたところですが、現代的な価値観が積極的に反映された脚本と、物語の中で起こる出来事と歌詞の中で語られる内容がどうしてもそぐわない部分もあり、やはりリバイバルというのは難しいと感じましたが、新しい脚本が目指した方向性には一貫性があり、共感できる部分が大きかったです。

 4月13日に開幕したこのプロダクションも、来週末千秋楽が予定されています。どの作品を見ても思うことですが、観た側が、これが一回限りの公演だと言われても納得してしまうような熱意と精度で、毎公演キャストとオーケストラが演奏してくれていることに頭が下がり、ありがたいことだと思います。千秋楽までどうぞ引き続き無事に盛況にと願います。

2023年7月11日火曜日

ウェブサイト更新

 そしてもう一つだけ!ウェブサイトを全体的に更新しました。


 新たなビデオの追加やレイアウトの更新の他に、今回はEducatorのページを加えて、ようやく現在の活動の全体像を反映することができたと感じています。まだまだ日本語表記が少なく恐縮ですが、ひとまず室内楽曲の日本語タイトルを加えてみました。ぜひ訪れて色々見ていって頂ければ幸いです。

 ウェブサイトは開設から今に至るまで、大学時代からの誇れる同期、notnil-creative.comさんに大変お世話になってConcrete CMSを使っているため、更新も随時自分でできるので本当に助かっています。今後もこのウェブサイトを通して色々な出会いに巡り合えるよう、まめに更新していきたいと思います。

2023年7月9日日曜日

「ミュージカル創作ワークショップ 第2回(2)」CEソング【導入編】アーカイブ動画

今日のお知らせはミュージカル創作ワークショップについてです!

「ミュージカル創作ワークショップ 第2回(2)」CEソング【導入編】アーカイブ動画 <全2回> from 特定非営利活動法人ミュージカルライターズジャパン on Vimeo.

昨年からミュージカルライターズジャパン(MWJ)で講師を務めさせてもらっている創作ワークショップの第2回をただいま好評開催中です。今回はCEソング(キャラクター・エスタブリッシュメント・ソング=一般に“I am song”や“I want song”と呼ばれている曲種)を取り上げ、導入編、分析編、実践編の三部構成でじっくりと進めていて、分析編までが無事に終了しました。

現在、導入編の二日間のアーカイブ動画が有料レンタルとして公開されています。ミュージカルの作り手の皆さんにはもちろん、ミュージカルを観ることが好きな皆さんにも次の観劇をより楽しんで頂けるような、ミュージカルの作りを深掘りする内容になっていますので、ご興味持って頂けたらぜひご覧頂けると嬉しいです!


2023年7月7日金曜日

音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』神戸公演

お知らせ続きになってしまいますが、今日は公演情報をお知らせさせて頂きます。


昨年末、東京での初演で好評を博した音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』が、この秋神戸で再演されます!

音楽朗読劇『#オン・ザ・ザッテレ』 
2023年10月1日(日) 15:00開演
*チケット発売は7月21日(金)10:00~

この作品をより多くの方に観て頂けること、特に地元関西での上演に歓喜しています!

西神中央ホールは2022年10月1日(土)に神戸市西区のなでしこ芸術文化センター内にオープンした500席の文化芸術ホールです。1周年の日に公演して頂けること、とても嬉しく思います!

素晴らしいキャストの皆さんによる一度限りの公演、どうかお運び頂ければ幸いです。

2023年7月5日水曜日

黄昏時の散策 Fort Tryon Parkにて

しばらく間が空いてしまいました!春から予定が立て込み、それまで月に一回は書けていたブログがすっかりご無沙汰になってしまいました。。。ようやく夏になって仕事が一段落したので、またつらつらと綴っていければと思います。

今日は久しぶりにウェブサイトの全体的なアップデートをして、昨年のLungs of the Cityのコンサートの音源もようやくYouTubeにアップしましたのでご紹介させて頂きます。


あらためて曲のご紹介を…。

アメリカ造園界の父、フレデリック・ロー・オルムステッド(1822年-1903年)の生誕200年に当たる昨年、彼の設計した公園にちなんだ作品を委嘱・演奏するLungs of the Cityというプロジェクトが企画され、私も作曲家の一人として参加させてもらいました。

私は7人編成のアンサンブル(フルート、クラリネット、ホルン、パーカッション、バイオリン、ビオラ、チェロ)に、マンハッタンの北端にあるFort Tryon Parkに寄せて「黄昏時の散策 Fort Tryon Parkにて」という曲を書かせてもらいました。

このプログラムは3つのアンサンブルによってアメリカ各地で演奏され、好評のうちに終了しました。今回ご紹介する映像は、ボストンでJuventas New Music Ensembleによって行われた世界初演のものです。お楽しみ頂けたら幸いです!

2023年2月11日土曜日

観劇記録:The Collaboration



先週になりますが観劇に行ってきました!普段は機会があればできるだけミュージカルをと思うのですが、前々から興味があったこの作品、久々にストレートプレイを堪能してきました。(開場直後に着いたため、写真ではまだ席が埋まっていませんが盛況でした!)

アンディ・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアがコラボレートしていたら、という設定のこの作品-二人が考えをぶつけ合いながら友情を深めて行く中で、アート、そしてアーティストとは何か考えさせられ、また成功するほどにブランドとして消費される悲しい側面も浮き彫りになります。

それぞれにクールなイメージのあった二人の巨匠がどうやってコラボレートするのだろうと思って観劇に臨みましたが、ウォーホルは終始飄々としていて、バスキアは無邪気で感情が豊かな役作りで、二人の関係性が自然に積み上がって行くことが体感できるお芝居でした。(登場人物はメインの二人に加え、バスキアの彼女と美術商の四人です。)

カーテンコールで明かりがついた時、バスキア役の役者さんが最後の圧巻のシーンからの感情がまだ続いていて、溢れる涙を拭っていたのが印象的でした。役者さんの心が動いているからこそ観客が感情移入できるのだなと改めて思いました。

ウィットに富みつつ様々な社会問題にも触れる充実した脚本を、上手い役者さんたちが演じ、観客も良く呼応して、とても素敵な観劇体験でした。


 

2023年1月5日木曜日

明けましておめでとうございます


明けましておめでとうございます!

年末年始は、友人を訪ねてカンザス州に行ってきました。沢山のご親戚の集まりにも寄せてもらって、久しぶりに大家族でのお正月を経験できて懐かしく、賑やかな年越しを迎えられて嬉しかったです。

今年もどうぞよろしくお願いします!