2014年2月26日水曜日

コメディー・ソング

今年度からアメリカの著作権協会の1つであるBMIの主催するミュージカル・ライティングのワークショップに参加しているのですが、一年目はミュージカル・ライティングの基礎を色んな側面から勉強するために、次々に出される課題に沿って作詞家とコラボレーションをしながら次々に歌を書いています。

ワークショップには特に教科書というものはなく、毎回課題ごとに作詞家と作曲家のペアが発表され、約2〜3週間のコラボレーションを経て、クラス内で自演で発表し、それに対して参加者とコーディネーターが感想や講評をフィードバックする中で、学んでいくというカリキュラムです。

課題は今までのところ、映画や舞台など(ミュージカル化されていないもの)を題材に、特定のシーンや特定のキャラクターに、特定の性格の曲を書くというもので、今回の課題は、舞台「クライボーン・パーク」(人種差別をテーマにしたブラック・コメディー)の中のキャラクターにコメディー・ソングを書くというものでした。

差別問題を扱った舞台にコメディー・ソングを書くということで、繊細な問題だけに難しさも感じましたが、「何に対して人は思わず笑ってしまうのだろう?」と考えながらパートナーと練上げるのはやりがいがありました。そして書けば書く程「これは絶対面白いと思う!」と盛り上がり、結果的に発表でもよく笑ってもらえました。

しみじみ思ったのは、人を笑わせるのは柔道で人を見事に投げるようなもので、その前の「つり込み」が大切なのだなと思いました。つまり、時間をかけてパターンを構築して「予期」させ、その上でタイミング良く「びっくり」を持って来るというような・・・。日常生活では、絶妙な間のボケや、思いがけない一発ギャグに抱腹絶倒してしまうこともありますが、計画的に人を笑わせようと思うと、そういう仕掛けが必要なように思いました。

毎回コラボレーションの過程は、二人の相性や思考のパターンの組み合わせと、そして言葉と音楽の相互作用の中でなんとかペアの着地点を探って行くような感覚で、はらはらしますがとても勉強になります。今後の課題についてもまたこちらで報告できればと思います。

2014年2月18日火曜日

散文:書道


時間軸の中に生きる者にとって、
触れることができる時間は「今」だけであり
その軌跡が後に「歴史」と呼ばれるのだと思う


それは「書道」ととてもよく似ている

墨を含んだ筆が紙に触れている瞬間が「今」であり
書かれた文字は筆によって描かれた「今」の軌跡

一端筆を紙に下ろしたら
その場で立ち止まって考えたり
後から消して上から書き直したりはできない

常に「今」描いている筆先に集中して
新たな文字を書き続けなければならない


生きるということは
そうして「歴史」が決定されていく瞬間に立ち会うということ


いつも存分に「今」に生きていたいと思う

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昨日は、私がミュージカルを志すようになったきっかけにもなった、憧れのミュージカル作曲家 Maury Yestonのコンサートを聴きに行ってきました。コンサートが終わり、ロビーに降りていくとなんとご本人がそこにおられました!まさかご本人に会えるとは予期していなかったのでとてもどぎまぎして、いつものパターンだと遠目に観ながら結局そのまま帰り、後になって後悔することが多いのですが、昨日は少し考えました。「後になったら負け惜しみしか言えないが、今ならまだそうなる「歴史」を変えられるぞ!」(おおげさながら)と思い直し、挨拶客の列に並びタイミングを見はからって声をかけ、挨拶できました。とても気さくな方でした。大変興奮して帰りました。


2014年2月16日日曜日

終幕


昨晩をもって、The Sevenの全5公演が無事終了しました。最終公演は残念ながらスケジュールの都合で観にいけず、その前回の公演を観たのですがとても感無量でした。

身近となった物語に益々感情移入するのと同時に、リハーサル期間にキャストやスタッフと交わしたやりとりなども思い出し、これまでの道のりに思いをはせる刹那がありました。

今まで「アシスタント」として小規模ながらいくつかの公演に関わってきましたが、今回初めて「ディレクター」として参加し、そのポジションの責任とやりがいを垣間見た気がします。

実は仕事をオファーされた時には、自分がヒップホップを指導している様子も、仕事の進め方も具体的に想像できず、よほど断ろうかと迷いました。それでもその時の決断の先にこのような世界と経験が広がっていたのだと思うと、よくぞオファーしてもらった、受けさせてもらってよかったとしみじみ思います。

最終公演が終わり名残惜しい気持ちもありますが、舞台が無事に終わってくれたので、ようやく肩の荷を下ろせた思いです。新たな気持ちで次に進みたいと思います。

2014年2月13日木曜日

公演初日


昨日、無事"The Seven"が公演初日を迎えました。写真は完成したセットに照明が入った様子です。

ここ一週間は毎日シアターに通ってのリハーサルで、限られた時間の中で如何に調整していくかの怒濤の日々だったので、昨日の初日でようやく初めてメモをとらず楽譜を追わず顔を上げて全ショーを見たのですが、こんなに緊張するものとは思いませんでした。。

というのもキャストがちゃんと歌ってくれるかが心配というのではなく、照明や音響との段取りの難しさを逐一知っているもので、「あのエントランスはうまく行くだろうか。。」ということが終始気になって、なかなか震えが納まりませんでした。

そんな中、リハーサル最終日に監督がキャストに向けて贈った言葉を思い出しました。彼は初日の前にはいつもそうするらしいのですが、ある演劇に関する本(タイトルを覚えていないのですが。。)からの引用で、内容はこんな感じでした。

「人がどういう時にどれほどの恐怖を感じるか、ということを調査した統計がある。それによると、人は「死に際した時」感じるのと同じかそれ以上の恐怖を、「人前に出て話す」という時に感じる。緊張のあまり『人前でしゃべるくらいなら死んだ方がましだ!』という人がいるのもあながち大げさではない。戦地に向かう兵士は国から表彰されるが、俳優は誰からも表彰されることはない。けれども、君たちがやっていることはそれ以上に勇ましく、尊く、意味があることだ。君たちが舞台で演じる事で、人々に共感する体験をもたらし、君たちもまたそこから「賞賛」以上に素晴らしい体験を得るのだ。」

初日の舞台では、いくつか小さなトラブルはありましたが、キャストとスタッフ達が調整しあって舞台は無事勢いを失う事なく終演を迎えました。客席での私の不安や祈りをよそに、舞台上で生き生きと演じられる本番を見とどけ、ようやくほっとして喝采の拍手を贈る事ができました。

2014年2月6日木曜日

散文:休憩時間


タバコの煙を吐きながら、
人はため息をついているんじゃないかと思う。

紅茶やコーヒーを飲みながら、
人は香りに口づけをしているんじゃないかと思う。

やりきれない思いや寂しさを、
素知らぬ顔してやり過ごし、
さあこれからもう一仕事。

哀しいけれども頼もしい。
今日もそれぞれ、人はがんばる。

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自身は吸わないのですが、以前タバコの煙を吐いている人を見て、ふと「あれは本当はため息なんじゃないかな。」と思ったことがあります。何気ない休憩の習慣が、実は自分を励ます為の、ある種の「強がり」だったりするのではと想像した途端、皆がんばっているのだなあと妙にほっとしたのを覚えています。

2014年2月5日水曜日

再びの雪


日本でもたくさん雪が降ったそうですが、皆さま大丈夫だったでしょうか?
こちらも一昨日、今年に入って3回目のスノーストームに見舞われました。今年は本当に多いです。近頃はようやく前回のスノーストームで積もった雪が溶けて道を歩きやすくなったと喜んでいたところ、ほんの一日で銀世界に逆戻りしてしまいました。今は一軒家に間借りして住ませてもらっているのですが、通用扉までの通路を確保するために人生初の雪かきをしてみたところ(結構楽しかったのですが)、翌日覿面に筋肉痛になりました。。