2022年7月12日火曜日

電車での親切

 


少々予定が立て込み、ご無沙汰してしまいました。。ミュージカルライターズジャパンのミュージカル創作ワークショップも無事に2日目まで終了し、残すところ来週の最終日のみとなりました。参加者の皆さんが熱心に参加して下さって、大きなやりがいを感じながら進められています。

ちなみに夏の間、友人が音楽監督を務める教会でピアニストのサブをさせてもらっています。少し遠いところにあるので、地下鉄ではなく電車に乗って通っているのですが、車掌さんが回ってきて一人一人チケットを確認して前の座席の上に確認証(写真)を差して行ってくれます。チケット自体はオンラインで買えてスマホに表示して見せるのですが、このやりとりがなんともレトロに感じられて好もしく思っています。

ところでこの間の日曜日、停車駅で小さな火事があった為、急遽電車乗り換えなくてはならなかった時に、乗り合わせたお客さんに親切にしてもらったので、そのことを書いておきたいと思います。

電車は地下鉄と違って普段は時間通りに来てくれるので助かるのですが、不測の事態があった時には慣れないもので何が起こっているのか、どう対処すればいいのかわかりにくいことが多いです。今回も、なんとなくアナウンスを聞き逃していたところ、車掌さんが私の確認証を見て声をかけてくれて、急遽私の降りる駅に停まらないことになったので、次の駅で降りて折り返すようにと知らせてくれました。

何とか指示通り降りて、すぐに来た反対方向へ向かう電車に乗ってみたのですが、その電車が特急電車だと気付き、本当にこれでいいのかと降りてみたりしていると、非常対応のため特別に各駅にも停車するというアナウンスが聞こえ、ああそうかと思って電車に戻ると、一緒にその入り口から乗ったお客さんがアイコンタクトで「大丈夫」と頷いてくれました。

その後も、各駅ではドアを一つしか開けないので、降りる人は先頭車両に移動して下さい、というアナウンスがあった時にもそのお客さんが「行くよ」と目配せしてくれ、「ちゃんとついてきてる?」と振り返ってくれたり、すっかり面倒を見てもらいました。そして無事に目的の駅で降りることができた時、ありがとうという思いで手を振ると「うん、よかった。」という表情で頷いてくれました。この間一言も言葉は交わしていないのですが、目線と仕草だけで、とても真面目で親切な人だというのが伝わりました。

ニューヨークでは公共交通機関がよく止まったり遅れたり変更になったりするせいもあり、これまでにも見ず知らずの人になんとなく気にかけて親切にしてもらったおかげで無事に帰宅できたということが何度もありました。ただ乗り合わせたというだけで親切にして、何の見返りも求めずにまた自分の日常に戻っていく、そういうタイプのニューヨーカーは今も確実にいて、とても素敵だなあと思います。