2023年11月20日月曜日

ハッピーバースデートゥーユー

先日ズームレッスンのピアノの生徒さんがお誕生日だったので、レッスンの最後にこの曲を弾かせてもらいました。誰かのために演奏できるというのは有難いことだなとしみじみ思いました。




このアレンジは自分で作ったものなのですが、お恥ずかしながら、弾く前に少しさらい直してからでないと音を外してしまいがちな箇所がいくつかあります。今回も演奏前に練習していると、なんと見せ場で音を外してしまったり、なかなか盛り上がらなかったりで、大丈夫かなあと思いつつ時間になってしまったのでレッスンに臨みました。


しかしいざ、ご家族も画面の前に集まってくれて、「おめでとう!」と言って弾き始めると、お祝いの気持ちが込み上げてきて、多少のミスタッチはしてしまったものの大きなミスはなく、練習の時よりよほど素敵に弾けました。生徒さんも喜んでくれてホッとしました。


演奏だけでなく作曲にしても、作り上げている過程では作品それ自体の精度ばかりに囚われてしまいがちなのですが、実際は聴いてくれる人がいて初めて本来の姿を表すことができるのだと思いました。そもそも届けたい人たちがいるからこそ作っているのだ、と忘れないようにしたいです。

2023年11月6日月曜日

The Emissary

先週末になりますが、京都教育大時代からの友人である作曲家王健治さんが書かれた初のオペラ、The Emissary(原作:多和田葉子「献灯使」)の初演をサンフランシスコに観に行ってきました!


 


Opera Parallèleという、サンフランシスコ・ベイエリアで現代オペラの制作と公演を精力的に行っているオペラカンパニーからの委嘱を受けた」という制作の初期段階から話を聞かせてもらっていたので、初演を観ることができて感無量でした。


この作品はHands-On-Operaという、あらゆる年齢の学生達にオペラを体験できる機会を創出する為のプログラムの元に生み出され、今回は高校生の合唱団がプロのオペラ歌手との共演を果たしました。


クラシックの勉強をした作曲家であれば、いつかはオペラを書いてみたいという憧れが大なり小なりあるように個人的には思っているのですが、実際に書くとなると想像するだけで圧倒されてしまいます。委嘱の意図を汲んだ題材選びから始まり、リブレティストと台本を練り上げ、オペラというフォームを咀嚼し独自の音楽的なストーリーテリングを模索しながら、プロのオペラ歌手が存分に力を発揮できるように、かつ今回に関しては音楽的経験がまだ浅い高校生達に達成可能でやりがいのある歌を書き、その世界観を支えるオーケストレーションをし、そして初演までのリハーサル期間には多くのアーティストと協働して最後まで微調整を続ける…。側から見せてもらっていただけですが、制作の最初から最後まで、その大半を一人で走り続ける、マラソンのようなものだと実感しました。


終演後のレセプションにも参加させてもらったのですが、そうやって健治さんが作り上げた作品の世界が、今これだけたくさんの人に共有されて、高校生はもちろんプロダクションを支えた一人一人が「自分の作品」と誇らしく思い、公演の成功を喜んでいるその空気を肌で感じることができて益々嬉しくなりました。


この作品が今後も各地で演奏され続けることを願ってやみません。