2025年4月13日日曜日

散文:駅にて

駅のホームに佇む無数の人々

それぞれが大事な何かを抱えてそこにいる

買ったばかりのバースデーケーキを大きめの紙袋の中に

おめでとうの花束を両手の中に

もうすぐ生まれる赤ちゃんをお腹の中に


それぞれがいなければならない場所に向かっている

10年ぶりの家族と再会するために

急遽頼まれた仕事の代役を果たしに

旅立つ友達を見送りに


淡々と共存するその人々の

それぞれが使命を持ってそこにいる


恐らく二度と会うことのない

その人々に、自分に願うのと同じくらい

幸せがあればいいと思う


***

何年ぶりかの散文です。

何か大切なものを抱えて電車に乗るときは、「どうか誰もぶつからないでー」と思い、大事な予定に向かうときは「電車が止まらず走ってくれますように(NYだけかもですが…。)」と思います。でもきっとそれは自分だけでなく、今隣に立っている人もそうかもしれないし、むしろ自分よりもっと壊れやすいものを抱えて深刻な事態に向かっている可能性だってある、そう思った途端に視界が広がるような気がしました。たくさんの人と日常的にすれ違う街に生活していると、ついそこに人がいることを当たり前に感じてしまいがちですが、それぞれに物語を抱えた、主人公たちの集まりだと思うと、世界とはそういうものだったと謙虚な気持ちになります。今日地下鉄で電車を待ちながら思った雑感です。

2025年4月8日火曜日

In the Shade of an Acacia Tree—バイオリンソロ


この曲をつい最近、9歳のバイオリニストが弾いてくれたと知ってとても喜んでいます。


別の新曲を演奏してもらって知り合ったバイオリニストの生徒さんで、学校の演奏会で演奏することになったと以前連絡をくれていたのですが、つい先日、無事演奏が終わったとビデオレターと演奏ビデオを添えて丁寧に報告をもらい感激しています。若くして既に深い音楽性の感じられる演奏で、しっかり取り組んでくれたことが伺えて。。。成長期の音楽家が取り組む一つのレパートリーに選んでもらえたことをとても光栄に思います。私自身、アメリカで音楽院を卒業してから10年以上が経ち、色々な機会に恵まれる中で自分なりに誇りに思える曲が少しずつ増えてきた今、それらの曲に居場所を見つける活動も広げていきたいなあと思っています。曲を迎え入れてくれる演奏者に届けられるように工夫して行きたいと思います。



早速で恐縮ですがこの曲の楽譜はこちらでご購入頂けます😄
https://www.sheetmusicplus.com/en/product/in-the-shade-of-an-acacia-tree-for-violin-22419532.html


2025年4月1日火曜日

ニューヨーカー

ニューヨークでの生活も今年で16年になります。


留学生として来たので、当時知り合った友達の中には既にここを離れた人も多くなって来ました。それでも不思議に思うのは、この街で出会って一時期であれ、一緒に濃い時間を過ごした友達は、たとえ今ニューヨークにいないとしても気持ちの距離感が変わらないところです。お互いニューヨークにいる時でも、忙しい時期には年に数回しか会わないこともあるためなのか、あるいは単にこちらがニューヨークにいるからに過ぎないのかもしれませんが。。。そして一度離れても、ライフステージの変化を経てまた戻ってくる人もあり、希望が持てるというか、寂しくはない街です。


寒さの続いた今年のニューヨークの冬ですが、ここ最近はようやく春らしくなってきて、今日はぽかぽかとした陽気の公園でハナミズキが咲き始めているのを見かけて嬉しくなりました。