2016年4月26日火曜日

地下鉄にて


先日地下鉄の中で、心温まる場面に出会いました。

私は本を読んでいたのですが、左の方の席には乳母車に乗せた男の子を連れた若いお母さんが座っていました。お母さんは、はじめは笑顔で男の子をあやしていたのですが、ふと気がつくと何か大声で言い聞かせているようでした。一生懸命そうなのですが、どうも思うようにならず焦っているようにも見えました。

次の駅で、今度は和やかな家族が乗ってきて私の前の席に座りました。お母さんとお父さん、そして幼稚園と小学校くらいの年齢の二人の女の子です。お母さんはいわゆる肝っ玉母さんという感じで安心感があり、子どもたちは朗らかで、そしてお父さんは穏やかでした。

左のほうのお母さんは、その後ますます男の子を持て余してしまったようで、しばらくすると再び大きな声が聞こえました。すると、前に座っているお母さんが少し間を置いてから、その若いお母さんに向かって穏やかに「神様のご加護がありますように。素敵なお子さんね!」と声をかけたのです。

若いお母さんの方を見ると、本当に嬉しそうな、誇らしそうな顔をしていました。がんばっていて、でも思うようにならなくて、そんな時にかけてもらったその一言がとても響いたように見受けられました。

すると前に座っていた小さい方の女の子がすかさず「その子はまだ赤ちゃんだからね。私なんてもう4歳なんだから。4歳なんだから、4歳なんだから、4歳なんだから!(本当に4回言っていました)」と言ってさらに和みました。

お母さん「ほら、この子ったらやきもち焼いちゃってるのよ(笑)」
    「(女の子に向かって)彼、かわいいねえ。」
女の子「かわいいねえ。」

そして次の駅で、再び若いお母さんと男の子のほうに向かって「バイバイ、かわい子ちゃん。お母さん、気をつけてね。」と声をかけて、お母さんとその一家は降りて行きました。

色々と感じ入る出来事でした。