2025年9月27日土曜日

散文: 審査員

何を食べ

どんな仕事に打ち込み

誰と過ごすのか

生きるという営みが

どういう世界に生きたいか

に直結している

この世に生を受けたと言うことは

審査員に選ばれた

ということ

小さな一票を

投じていきたい

***

タイトルについて、「有権者」も考えたのですが、「審査員」という方がより強く、重要な役割を任された、という印象が出るかなとこちらにしました。社会で起こっている様々な出来事に対して、無力に感じてしまうことの多い日々です。それでも、生活を通して繋がっているという意味では、小さくても自分も影響を与えられる存在なのだ、と意識しておきたいと書き留めました。生きる上での内側の指針は「幸せの追求」、生きた影響は「投票活動」、と心に留めてやっていきたいと思います。

2025年9月25日木曜日

Pianist in Residenceコンサートのご紹介

Festival for Creative Pianistsと、その楽譜出版機関であるAbundant Silenceが合同で、今年からPianist in Residenceプログラムを始動しました。記念すべき一年目のピアニストとして選ばれたのはDaniel Inamoratoさんで、8月のバーモント州でのフェスティバルでは、ワークショップに加えて、二つのコンサートを演奏して下さいました。

光栄なことに、どちらのコンサートでも私の曲を取り上げてもらったので、そのビデオをご紹介させて頂きます。

Pianist in Residence Concert

このコンサートは、内面的な不条理や滑稽さをテーマにしたセクションと、さまざまなエチュードを織り込んだセクション、という2つの軸で構成されており、技巧的かつ深遠なソロ作品から、ピアニスト自身が歌う歌曲に、内部奏法を織り込んだ曲まで、ピアノ曲の持つ様々な可能性を幅広く楽しませてもらいました。

私の作品からは、《The Days of Childhood(子ども時代の日々)》より《Capricious March(気まぐれな行進)》を、コンサートの前半(34:17あたり)に演奏してもらいました。この曲は、集団登校の途中で道草を食ってなかなか学校にたどり着かない子どもたちの様子を描いた作品で(笑)、その世界をとてもチャーミングに表現してもらって感激でした。

Matinee Tribute Community Concert "Social Justice Solo Piano and Toy Piano Recital"

翌日に開催されたこちらのコンサートは、前日のプログラムとはがらりと雰囲気を変え、理不尽な暴力によって命を奪われた人々を追悼する作品をテーマに構成された演奏会でした。

取り上げられた作品は:
- 2012年 サンディフック小学校銃乱射事件
- 2016年 オーランドのパルス・ナイトクラブ銃乱射事件
- 2020年 ジョージ・フロイドさんの警察による殺害事件

—それぞれの事件の被害者を悼むために書かれた楽曲です。

私の作品からは、以下の2曲をプログラムの最後(1:03:09あたり)に演奏してもらいました:
- 《Through the Sky(空を通して)》
- 《In the Shade of an Acacia Tree(アカシアの木陰で)》

コンサートを通じて、それぞれの作品を通して被害者の人生と、その命がいかに理不尽に奪われたかを観客が深く受け止めたあと、再び日常へと戻っていく為の橋渡しをするような役割として選んでもらいました。自分の曲が、そんな大切な場面に居場所を見つけ、役割を果たせたことを、とても光栄に思いました。

どちらも、それぞれに聴きごたえのあるプログラムです。ぜひ、お時間ある際に全編をご覧いただけたら嬉しいです。

2025年9月2日火曜日

16周年の節目に

気がつけばもう9月。新しい季節の始まりを感じる頃となりました。

先月、数年前から理事として関わっている教育団体「Festival for Creative Pianists」のフェスティバルに講師兼サポート役として参加するため、初めてバーモント州を訪れました。


経験豊かで知的探究心に満ちた素晴らしい講師陣、ピアニスト、そして生徒たちと共に、音楽や芸術、教育に深く向き合って過ごした1週間は、かけがえのない時間となり、これからの生き方にも大きく影響するような、新鮮で豊かな刺激をたくさんもらいました。

パンデミック後のここ数年は、一から生活を立て直していくなかで、ご縁のあった新たな仕事やプロジェクトを次々に引き受け、常に何かに追われているような毎日がいつの間にか日常になっていたように思います。

今回の滞在は、「自分が本当に時間をかけて取り組みたいことはなんなのか」「どんな音楽を残していきたいのか」といった問いに、改めて向き合う機会となりました。

ちょうど先日、アメリカに来て16周年を迎えました。

これまで背伸びをして走り続けてきた自分を、少し離れた場所から俯瞰してみて、自分が自然と惹かれるものにじっくりと取り組んでいく、という風に舵を切ってみてもいいのかな、などと思いを巡らせる日々です。


写真は、先日友人とアメリカ自然史博物館を訪れたときに撮ってもらったものです。
留学直前にも来た場所で、来る度に初心に戻るような気持ちになります。