2013年11月28日木曜日

散文:これあげる


「これあげる!」

私が落ち込んでいたのを知っていたのか知らなかったのか、
その子が差し出したのは美味しそうなクッキー。

「あ、ありがとう!」

何も聞かず何も言わない。
それでいてとても励まされた。

" 元気出して。"

今度しょんぼりしている友達を見かけたら、
私もきっと何か美味しいものをあげよう。

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大分前のことになりますが、在学中に学内オケに曲を演奏してもらえることになった時、初回のリハーサルで時間が押して、私の曲だけリハをしてもらえなかったことがありました。しかし当時オーケストラ・ライブラリアンのバイトもしていたので、やりきれない気持ちながらオケが使った椅子や譜面台を片付けていると、不本意にも涙がちょちょ切れそうになりました。その時、後ろから仲がよかったビオラの子に呼び止められて何かなと思って行ってみると、上の散文のような感じで何の説明もなくクッキーをくれました。

今日はサンクスギビング・ホリデー(アメリカ人にとって家族で過ごす休日、日本のお正月のような雰囲気です)だったのですが、友人との約束も色々とタイミングが合わず最近忙しかったこともあって、結局無理せず一人で過ごすことにしました。色々とたまっていた事務作業を片付けたり、日記を書いたり、ゆっくり過ごせて「こういうのもいいじゃないか」と思ってお好み焼きなど作って食べていたのですが、ついさっき思いがけず大家さんがお裾分けにとターキーのプレートを持って来てくれました。あまりに美味しそうだったのでさっそく頂くと、やはりとてもホリデーな気分になってありがたくて、ふと「美味しいものの力」をしみじみと思い出しました(ちなみにお好み焼きもなかなかふっくらと出来ました)。