2016年8月9日火曜日

散文:アートの材料


「孤独」は真っ白なキャンバスであり、

「悲しみ」と「情熱」が絵の具である。

だが最終的に画家を衝き動かし、

アートを生じさせるものは、

何をおいても「憧れ」である。

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残暑お見舞い申し上げます。まだ日本では厳しい暑さが続くようですが、皆さまどうぞ夏のお疲れが出ませんよう。

近頃のNYは暑さの中にも朝晩には少しの季節の移ろいを感じます。

おかげさまでビザの件はようやく一山越えられたのですが、今回の申請準備は前回の申請の時以上に苦しい時期がありました。アーティストとはなんなのか、自分はどういう風に生きていきたいのか、そして音楽との関わり方について、今まで以上に考えるようになり、今も渦中にある思いです。

最近考えていることなどを少し書かせてもらいたいと思います。

散文に照らし合わせると、NYにいられることで立派なキャンバスを手に入れられたと思っています。人生を重ねることで、絵の具の種類も少しずつ増えてきたように思います。ただ、先の道が見えないことに、自分がどの道に進みたいのかについて迷う中で、今更ながら途方にくれることがあります。そうしてふと、いつの間にか原動力であったはずの「憧れ」を感じる余裕を無くしてしまっていたのでは、と気がつく機会がありました。

ひととき産みの苦しみから離れ、ただ一人の観客として、きらきらしたものを見て心底憧れる。そういう時間を、しばらく過ごしていなかったのかなと思いました。

音楽で十分生活できるようになりたい、というのは具体的な目標なのですが、ただそれだけでは原点を見失ってしまう可能性があることに気づきました。何かをしたい、何者かになりたい、と思った初めには、いつでも憧れがあったはずなのです。そのことを今一度思い出したいと思っています。


どうもこの頃の投稿は散文スタイルが続いてしまいってますが、また少しずつ思ったことなど書いていければと思っています。