数年前から伴奏の仕事をしているのですが、先日声楽のレッスンで歌の先生が「ピッチを頭の中で考えただけで、自動的に声帯がその音を出すのに適した長さに調整される。」とおっしゃっていて、人体の高機能ぶりに改めて感じ入りました。
思えば口笛を吹けることだって、触っただけで紙が一枚なのか二枚重なっているのかを識別できることだって、実にすごいことです。
ピアノを弾く時にも、特にデクレッシェンドをする場合、音が減衰する速度に合わせて、どれぐらいの音量で次の音を弾きたいのかをイメージし、鍵盤への指の置き方とタイミングでそれを実行するわけで、いくつもの認知と筋肉のコントロールを同時に行なってようやくできていることなんだなと思います。
というのもこの間、モーツァルトの『レクイエム』より「ラクリモーサ」のピアノアレンジを作ったのですが、コーラスとオーケストラで歌い上げられるこの曲のメロディーをピアノで再現するには、その「次の音をどう置くか」が特にとても重要で、色々なことを思いながらデモ演奏を作りました。よければぜひご覧いただけたら嬉しいです。