2024年12月18日水曜日

師走に思うところ

本日今年最後の曲の発表を終えて、なんともホッとしています。

今年は沢山のプロジェクトに恵まれとてもありがたく思っているのですが、フリーランスの仕事と生活を合わせると本当に時間がなく、常に締め切りに追われ誰かをお待たせしながら(申し訳ない。。。)なんとか一つ一つ終わらせてここまで来れました。まだ実感のないところですが、ようやく後回しにしていた別のプロジェクトや予防接種に献血、そして事務作業を進められる状態になったので、少しホッとしつつも年末までにそちらの方も進めて行きたいと思います。こちらのブログでも、リアルタイムでご報告できなかったことを徐々に更新していきたく、ぜひお付き合い頂けたら幸いです。

関連はないのですが、10月にニューヨークの老舗スーパーマーケット、ゼイバーズが90周年記念にコーヒーを90セントで販売していたので、仕事帰りに足を伸ばして寄った時の写真を添えて。(結局流石にそれだけ買うのも申し訳なく、ベーグルも買って美味しく頂きました。)90年という年月を超えて、時代をつなぐ存在が今も健在でいてくれるというのはなんとも好もしく頼もしいことです。


2024年11月29日金曜日

Shizue: An American Story

気がつけば今年ももうすぐ師走!皆様いかがお過ごしでしょうか。今年は秋からプロジェクトや仕事が立て続き、目まぐるしい日々でした。書きたかったことを、これから少しずつキャッチアップしていきたいと思います。

少し前になってしまいましたが、10月の頭に、王健治さんの二作目のオペラ、Shizue: An American Storyの世界初演を観に、オレゴン州ポートランドに行ってきました!

カーテンコール!


健治さんの一作目のオペラ、The Emissary(Opera Parallèle)をサンフランシスコに観に行ったのがちょうど昨年の10月だったので、毎年彼の新作オペラを観られるなんて、ととても嬉しかったです。

劇場前にて!

今回のオペラはポートランドオペラのOur Oregon Projectという教育的プログラムの一環として委嘱されたもので、戦前に岡山からオレゴンへ移住した日系一世の詩人、岩月静恵さんの目を通してJapanese Americanの物語が描かれています。

オレゴン、フッドリバーで果樹園を営むKamegoroからの求婚を受けて移住した彼女は、日系人であるがゆえの困難に度々直面しながら、それらを生け花、茶道、短歌といった芸術に結実させ、コミュニティーを築きながら乗り越えてゆきます。作中で描かれる第二次世界大戦中の強制収容所での日々、そしてその後も長く続いた日系人の苦難の様子には様々なことを考えさせられ、胸の苦しくなる思いでした。しかし作品を通して健治さんの、静恵さんへの尊敬を込めて丁寧に構築し感性豊かに綴られた音楽に導かれて、大きな視点から「生きる」ということの根源を追求した彼女の生涯を清々しい気持ちで見届けることができました。

公演後のトークバックでは、静恵さんのご親族や、彼女を知る方々のお話も聞けて、感慨深いと共に、この歴史と今が地続きであるということをひしひしと感じました。

このプロダクションは、初演から引き続いて二ヶ月余りに渡るツアーに出発し、オレゴン州全域を巡回して劇場や学校、地域コミュニティで公演を続けています。キャストの皆さんは初演の時点で既に本当に素晴らしいかったですが、静恵さんが生きたオレゴンを旅して公演を続けられる中で、パフォーマンスはさらに深みを増しているだろうなと思いを馳せています。ぜひこの作品が旅を続け、近い将来にぜひ東海岸、そして日本でも公演されることを期待しています!

作品のタイトルが映ったマーキー前にて!

2024年10月12日土曜日

「Irreplaceable, A New Musical」リーディング公演無事終了


少し時間が経ってしまいましたが、先日お知らせさせて頂いた、「Irreplaceable, A New Musical」のリーディング公演が無事終了しました!とてもタイトなスケジュールでしたが、Creativeチームの脅威の追い上げと、素晴らしいCastの尽力で、とても締まった良い発表になりました。

日本から須貝英さんと内⽥靖⼦さんもNYに来てくれて、現在NYにいる祐さんとアダムと私と、Creative teamが揃って最後の準備から本番まで一緒に取り組めたのがとてもよかったです。Zoomのおかげでどこにいてもコラボレーションできるようになったのは良いことですが、やはり対面で会って同じ空間で時間を共にすることほど素敵なことはないなと思いました。

Developmentということでギリギリまで調整が必要で、あまり前もって脚本や楽譜を渡すことができずリハーサルの間にも微調整が入る中、プロフェッショナリズムを発揮して取り組みこの公演を可能にしてくれたキャストには感謝の気持ちでいっぱいです。当日のお客さまの反応もさることながら、リハーサルを通してキャストからもらったフィードバックも今後のための貴重な参考となりました。

公演の詳細については、この作品のこれまでと合わせて、祐さんがnoteに詳しくまとめてくださっているので、ぜひお読み頂けたら嬉しいです!

新作ミュージカル「Irreplaceable」NYCリーディング公演(前編)

新作ミュージカル「Irreplaceable」NYCリーディング公演(後編)

2024年9月9日月曜日

新作ミュージカル 「Irreplaceable, A New Musical」

お知らせが直前になってしまいましたが、明日NY時間の9月9日、創作に携わっている新作ミュージカル『Irreplaceable, A New Musical』がニューヨーク・チェイン劇場にて開催される「スパークシアターフェスティバルNYC Fall2024」(主催:Emerging Artists Theatre)の一環として上演されます!

2024年9月9日〜29日の期間で行われるフェスティバルで、私たちの作品の上演はフェスティバル初日9日の19時から、トップバッターをつとめます。今回は、俳優は脚本を手にしたまま、ステージ上にはピアノと譜面台と椅子だけという最小限のセットアップで30分の抜粋をお観せするリーディング公演です。この過程で俳優やお客様から頂いた反応やフィードバックを今後の制作に活かしていきます。

今回は私はドラマターグ兼通訳、そしてこの公演に関してはプロデューサーとして関わっています。これまで約一年間に渡り、新国⽴劇場で上演された「デカローグI-X」全作の上演台本を担当した須貝英さん、ミュージカルをはじめ⾳楽劇、ストレートプレイ等数多くの舞台⾳楽を⼿掛け、現在⽂化庁新進芸術家海外研修員としてニューヨーク滞在中の奥⽥祐さん、舞台を中⼼に活動し国際的に有名な演出家と創作を共にしている内⽥靖⼦さんと対話を重ね丁寧に創作してきました。そして今回の公演を前に私のBMIでの尊敬する先輩であり、良き友人であり、ドラマ・デスク・アワードの受賞歴を持つアダム・マサイアスも迎え、いよいよ作品に息が吹き込まれる瞬間に立ち会おうとしています!

日米両方での上演を目指しているこの作品を、どうかお心に留めて応援していただけましたら幸いです。

新作ミュージカル「Irreplaceable, A New Musical」公演詳細

あらすじ:⾳楽を愛する少年・剣⼈は、⺟親の死をきっかけに歌うことをやめてしまう。⾼校⽣になった剣⼈は、バレエスタジオでバイトをしながら、体の不⾃由な祖⽗の介護や家事もこなす。そんなある⽇、「ヤングケアラー」をテーマにした映画を制作しているシングルマザーで元テレビディレクターの⼥性・尚美と出会う。

9⽉9⽇(⽉)7:00pm 
前売$20、当日$25
Chain Theatre:312 W 36th St. 3rd fl.
チケット:https://www.tickettailor.com/events/sparktheatrefestival
よみタイムプレスリリース:https://yomitime.com/irreplaceable-a-new-musical-2024-09-06-0704/

2024年7月27日土曜日

2024 Summer Song Theater Fest

 


嬉しいご報告です!“Summer Song Theater Festival 2024”というコンテストにて、先日ビデオを発表したばかりの “Fog on the Zattere(ザッテレの霧の彼方に)”と”My Head Turns Round and Round at Christmas(あたまぐるぐるクリスマス)”が採択され、この8月、テキサスでのコンサートにて演奏されることになりました!

二曲ともオリジナルシアターソングの日→英トランスレーションプロジェクトとして取り組んだもので、日本語で書いた曲が丁寧なコラボレーションを経て英語の歌詞を得、そしてそれが曲として評価されるというのは大変感慨深いです。

ミュージカルの国を超えた流れは日本とアメリカとの関係に限って考えると、米→日の方が多いのが現状で、英語から日本語に訳されることの方が圧倒的に多いと思います。このプロジェクトに取り組んでみて思うことは、英語から日本語に訳す場合は「煎じ詰める」、逆に日本語から英語の場合は「折り込んでいたものを開く」という違いがあるように思います。言語の特性の違いから、同じ音数で伝えられる情報量が日本語の方が極端に少ないためですが、そういう性質上、同じ二つの言語間の橋渡しとはいえ、訳詞に求められる能力の方向性は真逆だなと思うと不思議な気もします。

そういうこともあって、日本語ではあえて主語を明確にしない方が自然であったり、敢えて「みなまで言わない」ことが粋であるとも思うのですが、他言語への翻訳を念頭に置くのであれば、限られた語数制限の中で言葉を選び抜くにあたって、しっかりと筋の通った構成や描き出そうとしている世界の具体的な背景を持っていることは非常に大切だなと実感しています。

ぜひこのプロジェクトは長く続けて行きたい、そしてプロセスも含めて発信して行きたいと思っていますので、このコンサートの様子もまたこちらでご報告させて頂ければと思っています!