2016年9月5日月曜日

散文:水と命


コップにたっぷり注いだ水はいつまでも
そこに湛えられていると思ってしまう

本当は今その瞬間にも少しずつ蒸発している
水というものは、この地に永遠に留まることはできない

命もまたそうなのかもしれない
どんなに元気な魂もいずれは天に帰る

けれどそれは消えてしまったわけではない
水が水蒸気に姿を変えて大気に漂っているように
きっと少し違った形になってそこにある

そして空から雨が降ってくるように
命もまた、いつかこの地に帰ってくる

********

台風の被害の報に心を痛めています。これ以上被害が広がらないことを願っています。

今日の散文は、ニュースなどで訃報に触れるたびに感じていたことと、洗濯をしながら思ったことがリンクして持った感想です。

ある時、出かける直前で時間がなくて、洗濯をした後の乾燥機を普段より少し短めの時間で回したところ、やはり生乾きになってしまったのです。急いでいるのに中途半端なことをしてしまった。。と焦りながら、しんなりした洗濯物を部屋中に広げていたのですが、でもこの洗濯物もいつかは乾くのだよな。と思いました。逆に、自然にしておいて水を引き止めておくことはできないのだ。と思いました。

訃報に触れるたびに、自分の中でその人の存在をこの地から彼の地に送る作業をする思いです。行くものを引きとどめておくことはできない。でも、消えてしまったわけではない。そう思うことが救いになるように思っています。