2013年6月5日水曜日

散文:今日も静かに


哀しい人々が地球を回す

果てしない哀しみと共に生まれた
彼らはひたすらに働く

哀しみを振り切るように
ささやかな幸せを託すように
今日も静かに

哀しい人々が地球を回す

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先日あったコンサートの前夜、コンサートプログラムの制作責任者としてプログラムを黙々と製本しながら思ったことです。当時はコンサートのリハーサルと、運営面で請け負っている仕事、抱えている他のプロジェクト等のために毎日睡眠を削ってようやく間に合わせる状況でした。疲れきっていて、それでいてまだ他に心配なことが山ほどあるのに、なぜ自分は今猛然とかつ冷静にプログラム折りに取り組んでいるのだろうと思いました。(もちろん次の日がコンサートだったからですが。。。)するとなんだか「そうでもしていないと哀しいから」という気もしました。この時はストレスもあったのと、誕生日前で少しナーバスにもなっていたのだと思います。

しかしそう思うと、身近に尊敬する、いつも忙しく仕事をしている人たちはどこかかすかに寂しそうだなという気もしました。どれだけ実績や地位があっても止まることなく、駆り立てられるように難しい仕事に挑み続ける。その原動力は実は「理由のない哀しさ」だったりするのではないか。仕事からの一瞬の現実逃避が見せた感傷です。