2015年6月10日水曜日

第八回:後書き


 以上、本編六回にわたってBMIワークショップ、及びそこで学んだミュージカル・ソング・ライティングについてまとめさせて頂きました。

 少しBMIワークショップに至るまでの個人的な経緯を振り返らせて頂きますと、ミュージカルを作曲することに興味を持ち始めたのは、大学の授業のプロジェクトとして同級生と制作したことがきっかけでした。もう約10年ほど前になります。それまでにも、もともとお芝居は好きで演じるということに憧れを持っていたのと、音楽の和声進行で人の表情を描き出せるのではないかということに興味があったので、今となってはそれらをコネクトできるのではという思いも少しはあったのだろうかと思いますが、当時はともかく単純に仲間との制作が楽しく、魅せられました。

 そしてBMIワークショップで、ミュージカル・ソング・ライティングおよびミュージカルの作りについて学びはじめると、ミュージカルがいかに感覚的に楽しめるべきものであり、そしてそのためにいかに緻密で論理的に作られているかを知るにつれ、益々制作に魅力とやりがいを感じました。同時に今のままの自分では太刀打ちできないと思うことも増えるばかりですが、できるようになりたい事が具体的に見つかっていくことはありがたいです。

 今年でアメリカに来て6年になるのですが、BMIワークショップでは、やはり言語と文化の理解におけるクラスメートとの差は歴然と感じています。ただ、それでも尚ミュージカルというアート・フォームに惹かれる思いは募るばかりで、作品の多様性や音楽の持つ作品における役割から、自分の持つ文化背景や音楽的背景によってこそ貢献できることもあるのではと微かながら信じて取り組んでいます。

 また、いつかは日本語のミュージカルを書きたいという思いも大きな目標としてあるのですが、今学んでいる事の中には英語という言語を前提として成り立っている事柄も非常に多いと感じるので、それらをどのように生かしていけるのかは、これからの課題として模索していきたいと思っています。

 長々となってしまい、お読み苦しい部分も多々あったかと思いますが、お付き合い下さり本当にありがとうございました。次回からは通常の投稿に戻りますが、また折に触れて、ミュージカルに関する記事を書いて行ければと思っています。