駅のホームに佇む無数の人々
それぞれが大事な何かを抱えてそこにいる
買ったばかりのバースデーケーキを大きめの紙袋の中に
おめでとうの花束を両手の中に
もうすぐ生まれる赤ちゃんをお腹の中に
それぞれがいなければならない場所に向かっている
10年ぶりの家族と再会するために
急遽頼まれた仕事の代役を果たしに
旅立つ友達を見送りに
淡々と共存するその人々の
それぞれが使命を持ってそこにいる
恐らく二度と会うことのない
その人々に、自分に願うのと同じくらい
幸せがあればいいと思う
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何年ぶりかの散文です。
何か大切なものを抱えて電車に乗るときは、「どうか誰もぶつからないでー」と思い、大事な予定に向かうときは「電車が止まらず走ってくれますように(NYだけかもですが…。)」と思います。でもきっとそれは自分だけでなく、今隣に立っている人もそうかもしれないし、むしろ自分よりもっと壊れやすいものを抱えて深刻な事態に向かっている可能性だってある、そう思った途端に視界が広がるような気がしました。たくさんの人と日常的にすれ違う街に生活していると、ついそこに人がいることを当たり前に感じてしまいがちですが、それぞれに物語を抱えた、主人公たちの集まりだと思うと、世界とはそういうものだったと謙虚な気持ちになります。今日地下鉄で電車を待ちながら思った雑感です。