2012年7月8日日曜日

『さようなら』


先日に引き続き、アップロードした音源のご紹介です。
混声四部合唱とギターのための「さようなら」。以前こちらで紹介させて頂いた谷川俊太郎さんの詩の英訳に曲をつけさせて頂きました。出版社等に問い合せたところ、自身のホームページで音源を公開する許可を頂いたのでアップさせて頂きました。

この曲を書いた時期には他の曲の締切などにも追われていたのですが、詩に共感する気持ちがうまく曲に乗って勢いのまま書けました。期せずして、自分も含めて卒業で離ればなれになる友達への想いもこめた「卒業ソング」になりました。

もういちど、谷川俊太郎さんの原詩を引用させて頂きます。

さようなら
詩集「はだか」より
谷川俊太郎

ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない

この詩を読んだとき、出発する子どもの気持ちに共感したのと同時に感激したのは、「ぼくもういかなきゃなんない」という恐い物知らずの子どもの発言に『まあ待て』と思いながらもその話を黙って聞き、「きっといちばんすきなものをみつける みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる」という覚悟を受け止め、最後には「ぼくもういかなきゃなんない」という言葉にじっとその背中を見送る親の姿が見えるような気がしたことでした。