2014年4月1日火曜日

The Light Princessのお話

今日は先日の投稿の続きで、"The Light Princess"のご紹介をしたいと思います。
かなりまとまった長さのあるお話なのですが、Wikiの英語版の粗筋がよくまとまっているので、そちらをざっと訳す形でご紹介させてもらいます。(それでも長めですが、お付き合い頂ければと思います)

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「軽いお姫様」

ある国の王様と王妃様の間に姫が生まれました。
待望の姫の誕生を喜んだ王様は、上機嫌で皆を姫の洗礼式に招待しましたが、意地悪で気難しい実の姉だけは呼びませんでした。その扱いに激怒した姉は、洗礼式の日に招待状なしでやって来て、皆の前で呪いをかけて姫から重力を奪ってしまいました。それ以来重さをなくしてしまった姫は、持ち上げられれば連れ下ろされるまで地上に戻れず、風にすら簡単に運ばれてしまう始末でした。姫は成長しますが、その「軽さ」の為に一度も泣いた事がなく、何かに対して真剣になるということもありませんでした。

しかし、姫が1つだけ夢中になったものがありました。それは湖で「泳ぐ」ことでした。そして水の中にいる間は、不思議なことに姫は重力を取り戻しているようなのでした。このことから、もしも姫が涙を流すことがあれば、ひょっとして重力が戻るのではないかという説が持ち上がりましたが、どんなに悲しいお話も、王様のお怒りも、彼女を泣かせることは出来ませんでした。

ある日、別の国から王子がやってきました。王妃候補を探すために旅に出た王子でしたが、未だに理想の姫に出会う事が出来ずにいました。そして「軽いお姫様」については何も知らず森に迷いこみ、偶然湖で姫と出会いました。てっきり誰かが溺れていると思った王子は姫を湖から助け上げますが、陸に上がった途端に彼女は宙に浮かんでしまい、しかも姫から「なんてひどいことをするの!」と怒られてしまいました。しかし王子は一目で恋に落ち、彼女の言う通りに姫を湖に戻すと、二人はいつまでも一緒に泳ぎました。そうして時間を重ねるうちに、王子は姫の様子が湖の中と地上では大きく違う事を悟りました。そして彼女を愛していながらも、地上での彼女とこのままでは結婚できないと考えるようにもなりました。

一方その頃、姫が湖で幸せな日々を送っていると知って腹を立てた例の王様の意地悪な姉は、今度は湖を干上がらせる呪いをかけてしまいました。その結果、湖は日を追う毎に水位を失い、噴水は止まり、雨も降らなくなりました。国中の赤ちゃんすら泣くのをやめてしまったのです。

そしてある日、干上がって行く湖の中から不思議な文書が発見されました。それによると、この惨状を止める方法はただ1つ、生きた男が命がけで湖の底の穴を塞ぐしかないということでした。それを受けて王様は国中におふれを出して志願者を募り、王子は迷わずその役目に志願しました。その時彼が王様に対して出した条件はただ1つ、彼が穴を塞いで沈んで行くのを姫に最後まで見届けて欲しい、というものでした。

ついに湖は、姫に見守られた王子の献身的な犠牲によって満たされて行きました。そして王子がいよいよ完全に水に沈んでしまうと思われたまさにその時、姫は弾かれたように我に返り、必死となって王子を湖から助け上げ、一目散に信頼している賢い女中の元へと向かいました。祈るような思いで姫と女中は夜通し王子を看病し、そしてついに長い夜が明けた時、日の出と共に王子は目を覚ましました。それを見た姫は安堵のあまり床にへたり込んでしまい、生まれて初めての大泣きをしました。姫がついに重力を取り戻したのです。それと同時に窓の外でも空から温かな雨が降り注ぎ、赤ちゃん達の頬にも涙が戻りました。

姫が上手に歩けるようになるのを待って、王子と姫は結婚しました。王様の意地悪な姉は、湖が水を取り戻した時に家が水没して亡くなったそうです。その後「軽いお姫様」と王子は沢山の子宝に恵まれ、そしてそのうちの誰も重力を失いはしなかったということです。
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というお話です(お付き合いありがとうございました!)。かなり直訳調になってしまいましたが、しかし実際はとてもダイナミックなお話です。「重力を失ったお姫様」というあっと驚く状況設定から、「水」を鍵としてドラマチックな展開をし、そして姫を想う王子の献身、それに応えて自らの力で呪いを解くお姫様の姿に感動しました。

曲の方では3楽章構成にし、1楽章目でふわふわと浮かぶお姫様、2楽章目で夜の湖での姫と王子〜意地悪な姉の悪巧み、3楽章目で沈み行く王子様と必死に助けようとする姫〜ラストまで、を描きました。いずれこちらのブログでも音源をご紹介できると良いなと思っております。