2009年12月29日火曜日

回想

2007年の夏に初めてNYに旅行しました。

先輩からマネスのことを聞いた時に、「一度海外に出てみるといいよ。旅行でもいいから。」と言ってくださったのでともかく「行かなくては」と計画を始めました。

それまでに卒業旅行でサイパンに行ったことはありましたが、それ以外は海外に旅行したことがなく、また一人旅も初めてでした。

当時は大学院の2回生で修士論文執筆中の最中、夏休みの10日間ほどをNY旅行にあてました。一番の目的はマネスを訪れることでしたが、期間を長くとったのは、「もしも留学するなら、10日間くらい一人で知らない土地で生きられなかったら無理だ。」と、試してみようと思ったためでした。

今振り返って、この経験が随分役に立っているなと思います。

オーディションの時には多少土地の雰囲気を知っているということが役に立ちましたし、それにこのときほどの孤独はそれ以来まだ味わっていません。

誰を訪ねていくのでもなくただ一人で知らない土地に観光に行く、というのは思った以上に孤独でした。乗り換えに失敗しながらなんとかNYにたどり着き、ジェットコースターのようなタクシーに乗ってホテルについた時、まず「こんなに遠くまで来てしまった…。」と気が遠くなりそうになりました。美術館で歩き疲れては「何をやっているんだろう。」と思い、英語に囲まれてほとんど話さずにいると自分の中の日本語がどこかへ行ってしまったような気がしました。なんとか帰ってきてからもしばらくは家の風景が違って見えて…。

それを経てオーディションに行ったとき、受付で自分の名前の入った受験票をもらっただけで嬉しかったです。まったくとっかかりのなかったNYという遠い場所で、自分のために何かがあらかじめ用意されていたというだけで心強かったです。

今はなんとか大学に所属することができて、知り合いも少しずつ増えて、はじめてのNYでの経験を思い出すたびにありがたいことだなと思います。